今日の本は吉田伸夫さんの「思考の飛躍―アインシュタインの頭脳」。
特殊相対論、一般相対論、ブラウン運動、量子論、量子力学批判、統一場の理論、ということでアインシュタインが思考してきた理論について、周囲の人達を巻き込んだ論争とともに歴史的な経緯が紹介されている。数式もたくさん出てくるが、それがどう受け入れられたとか、反発されたとか、対人的な関係が時代ごとに紹介されていて、なかなか厳しい道のりだったことが分かる。
アインシュタインとヒルベルトのバトルとか、はたまたボーアとのバトルとか、膠着状態になってなかなか決着がつかないところが面白い。流石のアインシュタインもヒルベルトと数学で戦うのは苦戦したようで、結構計算ミスすることがあったという話も出てくる。
ボーアとの論争は、最後にボーアが無茶苦茶な反論をしたというのが面白い。アインシュタインも、そんなことを言われたら話にならないということで論争を放棄したらしいが、
多くの物理学者はボーアを尊敬しているのであまりはっきりとは言わないが、この反論は、とても正当化できるものではない。
(p.187)
量子物理学の世界では、議論の内容まで不確定性を持ってしまうようである。
思考の飛躍―アインシュタインの頭脳
吉田 伸夫 著
新潮選書
ISBN: 978-4106036606