Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

少女不十分

今日の本は、西尾維新さんの「少女不十分」。

小説家の「僕」が10年前に経験した怪奇な話、という設定です。怪奇といっても怪異や能力者が出てくるわけではありません。出てくるのは案外普通のどこにでもありそうな話です。

登場人物は、主人公の小説家の先生と、小学4年生の女子のU。この小説家が U に誘拐されて監禁されます。ん、逆なのでは、と思うかもしれませんが、これで合ってます。この子供の行動がいろいろ不自然なのですが、

子供は親の真似をするものである。
(p.184)

ということに気づいて読むと、また面白さが変わってくると思います。

で、ストーリーとはまるで関係ないですが、気になったところを少し。

どんな職業のどんな人間も、突き詰めれば『誰かに使われている人』でしかないからだ。
(p.11)

国王とか浪人とかどうなのだろう、とか思いました。国王も国民に使われている、という解釈は成立しそうですね。浪人というのは江戸時代とかの話ですが、主君がいない武士って誰に使われているのか。

もっと気になっていることが。

つまり僕の履いてきたぼろぼろの靴は、この時点で、なんらかの形で始末されてしまっていたということのなのだが、
(p.111)

これは私が読み足りないのかもしれません。誘拐されたときに靴が処分されているのですが、その理由が分からないんですよね。少女Uの他の行動はだいたい分かったのですが。


少女不十分
西尾 維新 著
碧 風羽 イラスト
講談社ノベルス
ISBN: 978-4061828001