Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

老剣客躍る-はぐれ長屋の用心棒(35)

今日は、はぐれ長屋のシリーズから「老剣客躍る」。35巻です。今回は女・子供が襲われているところに源九郎が出くわして助けてやるパターンです。後日お礼に来たときに、ジジイの武士が一緒にやってきます、

この老剣客の名前が青山弥太郎。昔、源九郎と同じ道場で修行した仲間で、腕が立つジジイなのです。おんなは「おさき」、子供は太助という名ですが、ミッションは「この二人を守ってくれ」です。ただ、襲って来たのが誰なのか分からない。問いただすとモゴモゴしたりして何か怪しいが、青山は知っている仲だし、依頼金の百両は捨てがたいということで、商談成立です。

後は例によってお家騒動とか利権絡みで横から出てくる悪い奴とか、ぐちゃぐちゃの世界。最後に首謀者、とはいってもハメられてしまった感もありますが、貧乏旗本の中村稲之助のボロ屋敷に乗り込んで、

中村、武士らしく腹を切れ。
(p.267)

と迫る。腹を切れば殿に話をつけて、中村の子供は助けてやるという取引です。しかも、居合の菅井が、

「腹を切る気がないなら、おれが首を落としてやる」
(p.268)

説得じゃなくて脅迫ですね。ということで腹を斬らせて一件落着です。かなり途中省略したけどまあいいや。

さて、オープニングでおさきと太助が襲われていたのは一ツ目橋なのですが、最近、ここに書く前に古地図を確認してどのあたりか調べたりしています。この橋は墨田川に繋がっている堅川という細い川にかかっていて、今は一の橋という名前になっているようです。

はぐれ長屋の茂次が五人を尾行したときには、こんな光景がでてきます。

五人は堅川沿いの通りに出た後、西にむかい、両国橋を渡った。そして、五人は柳原通りを筋違御門の方にむかったという。
(p.82)

その後、和泉橋のたもとで3人と2人に分かれてしまって尾行も大変。

黒川という武士の塒(ねぐら)を探すシーンでは、

源九郎たちは、柳原通りを経て神田川にかかる昌平橋を渡って金沢町にむかった。明神下と呼ばれる神田明神の東側の通りから右手の通りに入って間もなく、
「あれが、浜崎屋ですぜ」
(p.126)

浜崎屋というのは老舗の料理屋で、黒川はその先に住んでいるという情報を手に入れているわけです。

このあたりの地名が Google Maps で簡単に出てきてくれると助かるのですが。


老剣客躍る-はぐれ長屋の用心棒(35)
鳥羽 亮 著
双葉文庫
ISBN: 978-4575667530