Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

とにかくうちに帰ります (2)

今日は時間待ちの間に「ウィンター家の少女」を読破しました。そう来たか、という感じの結末でしたが、数日中に感想を書きたいと思います。

で、先日読んでいた「とにかくうちに帰ります」。タイトルと同名の「とにかくうちに帰ります」だけ紹介していなかったので。

状況としては、豪雨で交通機関がマヒするのですが、

交通機関が停止しないうちに帰れ
(p.108)

最近は残業というのが社会的に超絶悪とみなされているようで、残業させないことが会社としての最優先事項であるようなところもあるようです。交通機関が停止したからというような安易な理由で残業されては困るのです。だから、早退しろ。でも仕事は遅らせないでね。

その日の十三時半から十五時半までの二時間は、係全員で狂ったように仕事をした。
(p.117)

たかが100時間や200時間の残業ではなく、そのような瞬間的な圧倒的負荷が社員を殺すような気がするのですけどね。私の知人には200時間超残業をするような人もいましたが、死んだというのは聞いたことがありません。最近の人は残業時間100時間を切っていても過労死するそうですが、日本は衰退したようです。

で、このストーリーは電車が止まってバスも来ない。歩いて帰ろうとしたら橋が閉鎖されていて渡れない、というような最悪の状況でとにかく帰宅しようという涙、涙の物語なのです。これって実際に経験した人ならかなりリアルな話ですよね。私はどちらかというと電車が止まったら泊まればいいじゃないか、的な考え方をするのですが、いつかの大震災の時は午前2時頃【脚色有?】の電車に乗って帰宅したような記憶があります。無理なら引き返してくればいいからとりあえず帰宅してみるか、と思ったら帰れてしまったのですよね。

袋の中からしょうが入りはちみつレモンのペットボトルを取り出し
(p.188)

実は好みです、しょうが入りのはちみつレモン。こういう描写もリアルなので何か自分の体験のように読み進めてしまうのです。でも個人的にはこんな経験したことないわけです。

 

とにかくうちに帰ります
津村 記久子 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101201412