Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

魔法科高校の劣等生(27) 急転編

今日は魔法科高校の劣等生の27巻、急転編です。Amazon のレビューが散々なのが面白いです。

今までのストーリーの流れとして、光亘が水波を拉致するという大前提で話が進んでいるのですが、個人的にはその必然性がここに至ってもまだよく分かりません。もちろん説明は先の巻に書いてある通りなのですが、それだけでここまで無茶するのかな、という感じがします。周囲の猛反発が分かっているのにわざわざ光亘が出かける理由だけでなく、達也側がそれを全力で阻止する理由も、どうもよく分からない案件です。本巻には水波がそれで葛藤するシーンが出てきますが、つまり本人もよく分かっていない感情に動かされているというシナリオなんです。そのあたりが不評の原因ですかね。

達也と深雪は婚約して同居してからの進展がまるでないので悶々としていますが、急転編というだけあって、周辺事態はそれどころではない急展開といったところ。そちらはなかなかの見どころです。

バトルは前巻からの続きで、新ソビエト連邦と大東亜連合が戦争になり、新ソビエトが勝つ。大東亜連合は日本にリウ・リーレイを亡命させる。ソは引き渡しを要求、日本は拒否。ソは日本を攻撃、日本はこれを新魔法で阻止。ところがこの攻撃が実は陽動作戦になっていて、本命は巳焼島へのUNSAの攻撃。という感じでそれなりにややこしいですが、こう書いてみると割と一本道ですね。

UNSAの攻撃は日本に亡命中のリーナが達也と共同で阻止するというもので、達也は最強キャラなので負けるわけがありません。ちょっと気になったのは亡命した美少女魔術師リウの引き渡し要求。何となく非現実的ですね、もちろん簡単に戦争になるような時代という設定ですから実力行使が話が早いわけですが、今の世界であれば、亡命者の引き渡しに30年ほどかかってしまいそうな気がします。

とりあえず本巻の一言【謎】で〆ておきます。

他人には何でもない出来事でも、本人にとっても忘れられない思い出になる。
(p.49)


魔法科高校の劣等生(27) 急転編
佐島 勤 著
石田 可奈 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4049121636