Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

貧しき人々

とりあえず書いてしまいましょう。ドストエフスキーさんの「貧しき人々」。

母親に死なれて孤独な娘、ワルワーラと、中年の役人マカールの、二人の文通の形式で話が進んでいきます。

なにゆえ私は鳥にあらぬか、自由に獲物を追いかけるあの鳥にあらぬか!
(p.13)

鳥も結構不自由らしいですけどね。天敵も多いし、縄張りだって。しかしこの話に出てくる二人は結構貧乏だし、もっと酷い人も出てきます。

そう、たとえば長い廊下を、真っ暗で不潔この上ない廊下を思い描いてください。その右側は一面、窓もない壁で、左側にはいくつもの扉が、まるで宿屋の部屋みたいにずらりと並んでいるのです。
(p.14)

安下宿のイメージですかね。住んでいる人もなかなかで、

家主の女主人はものすごくチビの汚らしい婆さんで、一日中スリッパとガウン姿で、朝から晩までテレーザをがみがみと叱りつけてばかりいます。
(p.15)

松本零士さんのマンガに出てきそうな婆さんを思い浮かべてしまいました。そういえば、何か私の知っている大家さんって女性が多いです。

貧しい人達の生活は、かなり極限状態のようで、読んでいてハラハラするようなシーンもたくさん出てくるし、

でも、どうかすると人間は、勘が狂ってデタラメを口走ったりすることもあるんですよ。
(p.26)

メンタルもヤバい状況になったりします。

一晩中夢の中で授業の復習をしているのですが、翌日になると何も覚えていないのです。
(p.54)

大丈夫なのかな、と思うのですが、それよりもお金がないと即困る状況なんですよね。

私たち、引越すにもお金がないんです。
(p.195)

お金がないといいつつ本を買ってみたり、芝居に行こうとしてみたり、娯楽にお金を使わないと生きていけないんですよね。

(多分続く)

 

貧しき人々
フョードル・ミハイロヴィチ ドストエフスキー
安岡 治子 翻訳
光文社古典新訳文庫
ISBN: 978-4334752033