Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

神頼み入門

困ったときの神頼みといいますが、この本は神社にお参りするときに役立つ知識が書いてあります。参拝の作法だけでなく、受験合格のときにはどこがいいとか、悪縁を切りたいときはどこがいいとか、具体的にどの神社に行けばいいかも紹介されています。

どういう時にどの神様に頼むという話もあります。例えば、

所によっては、便所神は非常に美人で、ほかの神が嫌がった不浄の場の神を進んで引き受けた徳の高い女神なので、「便所掃除をすると器量も性格もよい子が生まれる」と伝えられています。
(p.48)

こんな感じです。

そういえば、お正月に使う柳箸ですが、

柳箸が両方とも細く使いやすくなっているのは、ひっくり返して取り箸にするためではありません。これは神様と共に食事をするお箸。一方は人間が使い、もう一方は神さまが使うと考えて作られているものなのです。
(pp.52-53)

これは知りませんでしたね。いつも、逆側を取り箸に使っていました。

神社といえば、初詣のような毎年のイベントだけでなく、お宮参りとか、七五三とか、成長に合わせてお参りするイベントがあるのですが、これについて「けじめ」という言葉が出てくるのには考えさせられます。

節目節目にお祝いをし、儀式を行うところには、成長を寿ぐと同時に、けじめをはっきりとさせることで段階を経て年相応の自覚を身につけさせていく意味もありました。しかし、いまは祝うという部分だけが大事にされ、成長の意識、その年齢になったことの自覚が育てられてきていないのです。
(p.62)

神様が日常生活から微妙に離れてしまって、イベントの持っていた本来の役割が薄れつつあるのです。成人式は最近は神事ではなく地方自治体主催のイベントになっていますが、これも一時期は集まってやんちゃするイベントになっていたような気がしますね。そもそもイベントというものが、本来の意味を隠すような傾向を持っていて、時代に合わせて変化しやすい性質を持っているのかもしれません。


神頼み入門
飯倉 晴武 著
角川oneテーマ21
ISBN: 978-4047101715