魔法科高校の劣等生、21~22巻は「動乱の序章編」です。超あらすじですが、国防軍情報部がやんちゃする話。核になるキャラは遠山つかさ。防御魔法の高度プロフェッショナルですが、もちろん達也には歯が立ちません。本人は歯が立たないことを理解していないので、いろいろやらかします。アメリカの USNA も余計なことをしようとして泥沼にハマります。
テーマとしては先日ちょっと紹介しましたが、魔法師と一般市民の差別的なものが描かれています。
私たち魔法師と一般国民との間では、法は平等に適用されないということですか
(22巻、p.79)
魔法師は魔法で何とかできるから殴ってもいい、みたいな不公平があるわけです。そもそも、魔法使えるなんてズルい、という発想が根底にありそうな気もします。反魔法主義運動が激しくなってきたため、対策を考えるために若手だけの会議が開かれます。達也は空気を読むキャラではないので、全員から反感を買うことになりますが、以前敵視されていた七宝琢磨が妙に懐いているのが面白いです。なぜ反感を買うようなことをしたかというと、
俺を悪者にすることで七草家も面目を保つことができる
(p.93)
達也自身は深雪以外の誰から嫌われても何のダメージもないので、悪評は平気なようです。
時系列でいえば、達也が高校3年生になったタイミングになります。新入生は三矢詩奈と矢車侍郎が活躍(?)します。登場人物の中では、エリカに注目。今までと違った少し暗いキャラになっています。その影響か、雰囲気が達也に似てくるわけですが、言うこともこんな感じです。
負けてもいい時と絶対に負けられない時は、区別しなけりゃならない
(21巻、p.178)
負けてもいい時は負けてもいい、というのは当たり前の話なんですが、世の中、全部勝とうとして結局自滅する、という人もいますね。
格言的なセリフも相変わらずの満載です。
今ある機器を壊して新しい物に交換するのも、色々と不都合があるのよ
(22巻、p.47)
何でも新しくすればいい、というものではありません。動いているプログラムは触らない(変更しない)、というのがプログラマー的には鉄則ですね。プログラマー的に共感できるセリフはこのシリーズにはたくさん出てきますが。こんなのも。
何事も準備の方が時間がかかるものよ(22巻、p.233)
プログラミングって事前の設計とか仕様策定のあたりでかなりの時間がかかるものです。の割に、仕様が fix しないまま開発が始まってしまって仮実装のまま納品まで行ってしまったりするわけです。でも準備に時間がかかるという話は、どんなことにも当てはまりそうですね。
魔法科高校の劣等生(21)
動乱の序章編〈上〉
佐島 勤 著
石田 可奈 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048926690
魔法科高校の劣等生(22)
動乱の序章編〈下〉
ISBN: 978-4048929493