Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

魔法科高校の劣等生 ダブルセブン編

今日は12巻、ダブルセブン編。

ダブルとは何かというと、多分、七の付く七草(さえぐさ)家七宝家の高校生バトルという意味か、七草の泉美、香澄の双子姉妹のことなのか、どっちかあるいは両方でしょう。

ストーリーは達也が高二になった新学期が舞台となります、入学式やクラブの新歓週間や、入学編であったのと同じようなゴタゴタが発生します。ちなみに七草の双子というのは、前生徒会長だった七草真由美の妹ですね。真由美は卒業して魔法大学の学生になっています。

今回は魔法師を差別するグループとして人間主義というものが出てきます。

人間主義とは、魔法を人間にとって不自然な力と決めつけ、人間は天(あるいは神)に与えられた自然な力だけで生きて行くべきとする宗教的な側面を持った魔法師排斥運動のことだ。
(p.228)

AIがもう少し流行ると、こういう宗教がそろそろ出てきそうな気がしますね。今でもあるのかな、コンピュータは使わないで人間の頭で考えろ的な宗教。逆に機械主義者というのも出てくるでしょう。人間は考えずにコンピュータに全投げすべきだ、的な宗教。

今回はマスコミがいろいろ出てきて、政治家がそれを利用しているのかされているのかよく分かりませんが、とにかく出てきます。事前に情報をgetしてマスコミを利用するようなシーンは面白いです。マスコミを使った情報操作ですね。公開実験ではクーロン力を制御する魔法が使われていますが、クーロン力といえば「ノーゲーム・ノーライフ」の具象化しりとりを思い出します。

克人君、『世論』に対抗する有効な手段が何か、分かりますか?
(p.243)

これに対して「分断を図る」という正解が紹介されていますが、議論がぐちゃぐちゃになるというのはネットの工作員の得意技のようで、実は見る人はちゃんと正しい論に付いているような気もするんですよね。ネットでは「?」な意見に「いいね」が多数付いていても、コメントが逆ばかりだったり、何かいろいろ面白い現象が見られます。

バトルシーンとしては、正式な試合で双子と七宝琢磨の両方失格になってしまうバトルと、その後の琢磨 vs 十三塚、その後の十三塚と達也の試合が激しいですが、今回は殺し合いではなく試合なので、そういった迫力としてはそれなりです。

今回のいい言葉。

自分のことは分かっているつもりでも本当は分かっていない
(p.139)


魔法科高校の劣等生 (12) ダブルセブン編
佐島 勤 著
石田 可奈 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048660037