Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

魔法科高校の劣等生〈5〉夏休み編+1

夏休み編+1、ということで5巻は特別編、短編5作品と生徒会選挙の1作品が収められています。ちょうど今頃の季節ですね。Amazon の評を見るといまいちなのですが、個人的には、そんなに本気で読む作品じゃないと思うのですが。

「夏の休日」は水着シーン満載のいかにもラノベっぽい作品です。ところで、この本の話のように、生徒だけで海に旅行に行った経験ってありますか、皆さんは。そもそもお友達が海辺に別荘持っているという時点で現実にはあり得ないような気もします。

以前も指摘しましたが、差別がテーマの一つになっているので、それっぽいセリフはいろんな所に出てきます。

心の何処かで、魔法師を、気味の悪い、自分とは別の生き物だ、って思ってた。
(p.119)
「うるさい、人間もどきの魔法使いの分際で」
(p.242)

とはいえ達也と深雪に関しては人間というには違和感のある、むしろ化け物に近い存在のような気もしますが、能力の差があることをスルーしてそれと関係ないところで差別するという構造はリアルでもよくある話です。

個人的に一番気に入っているのは+1の作品、「会長選挙と女王様」です。普段おとなしい人を怒らせると怖いというのもありますが、

あの後、気軽に野次も飛ばせない雰囲気が講堂を覆い、
(p.350)

この雰囲気、何となく分かります。また、立候補を頑なに拒絶しているあずさをエサで釣るシーンは、そんな簡単な話なら最初からそうすればいいのに、という感じもしますが、簡単に釣れる人って確かにいますよね。


魔法科高校の劣等生〈5〉夏休み編+1
佐島 勤 著
石田 可奈 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048865227