Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

魔法科高校の劣等生 九校戦編

今日は先日紹介した「魔法科高校の劣等生」の3~4巻、「九校戦編」です。

魔法高校のインターハイのようなものです。魔法を扱う学校が全国に9校しかないので九校戦というそうです。魔法スキルの高い深雪は選手として出場するのは当然ですが、メカに詳しい達也が調整スタッフとして参加することになり、そこにマフィアが攻撃をかけてきて…というサスペンス的なシナリオになっています。ていうか入学編もそうでしたけどね。

試合は魔法バトルになるので、バトルシーンがたくさん出てきて楽しいものですが、前編と同様、格言的な内容がサラっと出てくるのがスパイスになっています。

人という生き物は、一部の例外を除いて、見たいものしか見ないようにできている。
(3巻、p.211)

まあそうですね。スルー力とか。余計なものばかり見る人もいたりするような気がしますが、まあ本能的に気に入らないものは「見なかったことにする」というオトナのスキル【魔法?】もあるし、逆にそれがないと今より世界は暮らしにくくなっていそうな気がしますね。ただ、余計なフィルタをかけてしまったのが大事故の原因になることもよくあるわけです。一長一短ですね。

次の言葉などは、中国の古典に出てきそうな話です。

使い方を誤った大魔法は、使い方を工夫した小魔法に劣るのだ。
(3巻、p.273)

老魔術師、九島烈のお言葉なんですが、レベルの差だってありますけどね。どんなに工夫しても超絶大魔法には勝てない、というようなケースもありそうで案外ないものです。

前回、この小説の魔法とプログラミングの対比をいくつか書きましたが、

今までに見たことのない、美しい魔法だと感じた。
(4巻、p.103)

魔法が美しいというのは全く想像できませんが、私はプログラマーなので、プログラムの美しさは感覚として分かります。このストーリーは、そういう意味でも魔法とプログラムの共通点が発見できるような気がしています。プログラムの美しさというのも、かなりハイレベルのプログラマーでないと分からないのです。

誰にでも使える、と、誰もが同じように使える、とでは意味が違う。
(p.396)

これはミラージ・バットという競技に出てくる話ですが、プログラムの場合も、誰でも書けるということは、誰でも同じように書けるという意味ではありません。同じ動作をするプログラムはいくらでもあって、効率や速度に物凄い差が出ることも珍しくないのです。下手なプログラマーが書いたプログラムをシニアプログラマーが修正したら100倍速くなった、みたいなことは日常茶飯事なのです。

話を戻して九校戦編ですが、分量は多いけど割と一気に読めるような気がしました。女子の入浴シーンとかも、なかなかいい感じです。観客として紛れ込んでいる独立魔装大隊の軍人達もスーパーマン的に強烈でなかなかエラそうな所もいい感じです。


魔法科高校の劣等生〈3〉九校戦編(上)
佐島 勤 著
石田 可奈 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048709989

魔法科高校の劣等生〈4〉九校戦編(下)
ISBN: 978-4048709996