今日は浅井リョウさんの「少女は卒業しない」。
というタイトルですが、内容は卒業式の日の話です。7つの短編からなる構成で、同じ日の光景が7人の少女の視点から描かれています。全部読むと、いろんな伏線が納得行くようになっていて面白いです。
1作目の「エンドロールが始まる」から。
「東棟の屋上には」幽霊がいる
(p.28)
幽霊伝説みたいなのはどこの高校にもありそうですが。私の高校には1組には戦争で死んだ生徒の幽霊が出るとかあったような気がします。この幽霊の正体は2つ目の「屋上は青」を読めば分かる仕組みです。
この本、女子高生が必ず絡んでくるので、女子っぽいネタは結構あります。
「足って、出せば出すほど細くなるんですよ。人に見られるから」
(p.19)
先生と女子の会話ですけど、女子っぽいですよね。
3つ目の短編「在校生代表」は、送辞を読む女子の話です。ていうか、この短編が全部送辞になっています。
え、睨んでませんよ。私、目悪いんでね、遠くの人を見ようと思ったらこういう目つきになってしまうんですね。
(p.88)
「恋は雨上がりのように」の橘さんも、よく睨んでいると誤解されていたようですが、あれは本当に睨んでいたのかな。
4つ目の「寺田の足の甲はキャベツ」って凄いサブタイトルですが、この寺田くんがチャリで河原に行って後藤さんにこの場所は覚えてるだろと問い詰めると、
「もちろん覚えてるよ……初めて外でした場所だよね」
「ちげー! 外でしたことねー!
(p.137)
中ではしたんですかね。
ところで、この文庫本の解説を書いているのはロバート・キャンベルさんで、曙覧の
たのしみはあき米櫃に米いでき今一月はよしといふとき
(p.276)
を紹介しています。この話も結構面白いです。
少女は卒業しない
朝井 リョウ 著
集英社文庫
ISBN: 978-4087452808