Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

終物語 中

仕方ないので【謎】流れ的に今日は「中」を突っ込むことにする。

この話は、猫物語で白虎が出てくる裏で阿良々木が何してたかのネタバレ小説だ。神原と一緒に神原を行動するというのは猫物語にも話が出て来たような気がするが、廃塾の跡に呼び出したときに、

彼女の全体重と全速度が乗せられた、真空飛び膝蹴り
(p.15)

そんな技、今の世代には通用しないと思う。しかも、

「大丈夫。ちゃんとブラは外してきた」
(p.19)

何が大丈夫だか分からないが、結局この後で阿良々木先輩にブラを買いに行かせるあたりの計画は周到といったところか。ちなみに神原はブラと一緒にBL小説も買いに行かせるのだが、それ以外の本も読むようなキャラだというのは知らなかった。それが山本周五郎さんの

『美少女一番乗り』というのだが
「嘘をつけ!」
(p.28)

嘘ではない。ちゃんと文庫本で出ている。ISBN は 978-4041290118。ちなみに周五郎を一冊も読んでない人なら「葦は見ていた」あたりから読むのがいいと思う。この二人が漫才をしていると、鎧武者、というより甲冑がやってくる。シャナか。で、ブラの話に戻ると、

「ああそうだ、阿良々木先輩、できたらでいいから、ブラジャーを買ってきてくれないかな」
「それはできないから買ってきてくれないよ」
「大丈夫、阿良々木先輩、ならできる」
(p.193)

私もそう思う。とにかく阿良々木先輩は買出しに行ってBL小説まで買ったところで、偶然、鎧武者と遭遇する。とはいっても、今回は鎧を着ていなかった。そこではバトルには至らないのだが舌戦が繰り広げられることになる。実は舌戦では済まない雰囲気になって超ウケる専門家【謎】と臥煙伊豆湖が参戦しようとするのだが、鎧武者は一瞬の隙に何処へと去っていく。その後の忍ちゃんと神原のバトルが圧巻で、この中巻はそこが殆どクライマックスみたいな話だ。

風化や磨耗させるくらいだったら、破壊してしまったほうがいい
(p.253)

中巻のストーリー約300ページ全部の中から要旨を30字以内で抜き出せといわれたら、ここを抜き出したらいい。要するに話にはオチがないと駄目なのだ。

神原のセリフからもう一つ、いいことを言っているところを紹介すると、

変に気張らず、いつも通り。稽古は試合のつもりで、試合は稽古のつもりで。
(p.269)

アスリートの基本格率というのだが、そういうのは知らなかった。

ところで、一つだけちょっと気になったのは、

神原にとっては、僕よりも。
もちろん、忍よりも。
初代怪異殺しの気持ちのほうがわかるのだ。
(p.245)

これは確かに化物語を読んでいる人にはよくわかるはずなのだが、それを知らなかったらわからないような気もする。


終物語
西尾 維新 著
VOFAN イラスト
講談社BOX
ISBN: 978-4062838610