Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

日本政治思想史研究

何故こんな本を今更読んでいるのかというと、「夜は短し歩けよ乙女」の中でコムズカシイ本の例として出てきたからなのだが、「日本政治思想史研究」を読み終わった。どんな本かというと、

本書は私が大学卒業後、東大法学部研究室で日本の政治思想史の勉強を始めて以後発表した論文の中から、徳川時代を対象としたものを選んで一冊に纏めたものである。
(p.三六五)

とのことである。政治そのものではなく政治思想というところがポイントで、儒学朱子学の知識を前提として書かれていて、特に徂徠学が全編にわたって頻出する。このあたりを理解していないと手も足も出ない。

ということで、私には手も足も出ないということになるが、超ざっくり概要を述べるなら、江戸時代の飢饉のような危機的状態での身分制度の破綻や、江戸末期に開国を迫られた状況下での幕府の生ぬるい対応等についての傾向と対策的な話を中心に書かれている。このあたりが今の日本を見ているようで実に興味深い。もっとも現在の日本に当時のような身分階級制度はないし、今対応で四苦八苦しているのは開国ではなくグローバル化しすぎて混乱しつつある国内政策かもしれないが、共通点として絶対にありそうなのが、政治家が状況を全然把握できていない、ということだろう。

今日は眠いので細かい話は次回以降に書きたい。

 

日本政治思想史研究
丸山 眞男 著
東京大学出版会
新装版 (1983/6/1)
ISBN: 978-4130300056