Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

知的戦闘力を高める 独学の技法 (2)

今日も殆ど本は読まなかった。「知的戦闘力を高める 独学の技法」の前回の続きを少し書いておく。

序章「知的戦闘力をどう上げるか」では、独学において、論語の有名な言葉『子曰、学而不思則罔、思而不学則殆。』をどう考えるべきかという話が出てくる。

論語が指摘する二つ目の過ちが「考えるだけで学ばない」ということです。
(p.38)

二つ目というのは『思而不学則殆』の後半を指している。自分で考えるだけで他の考え方、事例から学ばないのはリスキーだということだ。もちろん考えることは極めて重要であるが、考えるだけで「学ぶ」を忘れてしまうと、やはりよくないのである。要はバランスだ。

独学の戦略としては、ざっくりを良しとする。

「独学の戦略」を策定する際は、大まかな方向性を定める程度にとどめ、あえて大きな緩みや余白を残しておくことが大事です。「いったい何の役に立つのかわからない……けど、なんだかすごい」という情報は、いずれ必ず知的生産を支える大きな武器になります。
(p.45)

哲学は何の役に立つのか、というような質問を最近知恵袋で見かけた。その答はこの本の最後の方に出てくるからひとまずおいといて、哲学などの学問を役立たせるにはどうすればいいか。

特に文学・歴史・哲学などの人文科学系の知識は、私たちが日々携わっているビジネスとは直接的つながりを見いだすことが難しく、したがってなんらかの抽象化・構造化をした上でビジネスや実生活上への示唆を抽出すること、平たく言えば「意味付け」が必要になります。
(p.53)

抽象化というのはオブジェクト指向が分かっている人なら大丈夫だと思うが、共通要素をくくりだすような思考のこと。実装の上のレイヤーにある処理をテンプレートやパターンにして持っておくと楽だ。似たような事例に応用するためには、似ていることが判断できないといけない。そのベースになるのが抽象化なのである。このプロセスがあるから、細かい戦略を立ててもあまり意味がない。ざっくりで構わないのである。

独学の戦略として面白いと思ったのは、

独学の戦略とは、一言でいえば、「何について学ぶか」という大きな方向性を決めるということです。
 これは逆にいえば「何を学ばないかを決める」ということでもあります。
(p.60)

確かに、何を学ぶかというのは、視点を変えれば何を学ばないかを決めることだ。何をスルーするかを決めることで、決断が楽になることは、よくあるのだ。

(つづく)


知的戦闘力を高める 独学の技法
山口 周 著
ダイヤモンド社
ISBN: 978-4478103395