Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

仇討ち

今日は時代小説、池波正太郎さんの「仇討ち」なのだが、私が読んだのは昭和五十二年発行の文庫本の初版。Amazon で調べると 2007年に発行されている文庫本もある。

収録作品は確認していないのだが、もしかすると違っているかもしれない。

8つの作品が入った短編集。最初の作品「うんぷてんぷ」以外は全てバッドエンドで、中には微妙なものもあるが、仇討ちというのがどんなに厳しい世界なのか痛烈に感じさせてくれる。見つからないと十年、二十年、見つかるまで延々と仇討ちの旅が続く。

「仇討ち七之助」では、七之助の腕ではどうしても仇を討てない。ついには、病気になって倒れたところを仇に助けてもらってしまう。

七之助殿よ。おれをも討たず、したがって故郷へも帰れぬというのなら、どうだ一緒に……一緒に、おれと暮らそうではないか」
(p.68)

どうしようもないのなら、武士のしがらみなど捨てて新しい人生を、というのである。この後さらにバッドな結末がやってくるのが面白い。