Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

パン屋再襲撃

さいしゅうげき、を変換したら最終劇になるかと思ったらちゃんと再襲撃と変換してくれたのでホッとした。今日も時間がなかったので何も読めなかった、と書きたかったのだがこの本読んじゃったので仕方ない。

村上春樹さんの短編が入っている。まずタイトルになっている「パン屋再襲撃」。パン屋を襲撃する話…かと思ったら微妙に違う。

何年も洗濯していないほこりだらけのカーテンが天井から垂れ下がっているような気がするのよ
(p.24)

洗濯しろよ!

二つ目の作品は「象の消滅」。

…が象にバナナを一房ずつ与えた。
(p.45)

象って確かにバナナを食べるイメージがあるのだが、どこでそんなイメージが植えつけられたのだろう? 実際にバナナを食べているところは見たことがないような気がする。

三作目は「ファミリー・アフェア」。何となく吉本ばななさんの匂いがする。しかし出てくる人物の無気力さ【謎】は、なかなかのものだ。

「熱中しなくてもいいんだ」と僕は言った。「どうせ他人のやっていることなんだから」
(p.113)

これは野球を見ているときの会話なのだけど、そんなことを言われてしまうとスポーツを見ても盛り上がれなくなってしまう(笑)。

次の作品「双子と沈んだ大陸」で気になったのは、インスタントコーヒーを作るシーンで、

スプーンがみつからないので比較的清潔そうなボールペンでかきまわして飲んだ。
(p.128)

こういうの、やったことあります? ボールペンはないなぁ、鉛筆でやったことがあるような気がする。そういうのイヤだから、割り箸はいつも机の引き出しに入れておく習慣が身に付きました。

僕は結局何も考えないことにした。何を考えたところで、どこかにたどりつけるわけではないのだ。
(p.145)

とか思っているとき程、何か思わぬ所にたどりついたりしないか。ちなみに文庫本は新装版になっているが、ページ数は旧版のものです。

 

パン屋再襲撃
村上春樹
文春文庫
ISBN: 978-4167502119
(旧版 ISBN: 4167502011)