Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

日本はこうして世界から信頼される国となった

今日は大阪府がサンフランシスコとの姉妹都市を解消するというニュースがあったようだが、サンフランシスコといえば日本人差別で有名だったことを、学校の社会科では教えているのだろうか。

「日本はこうして世界から信頼される国となった」という本の第6章は「一九一九年 人種的差別撤廃提案」というタイトル。日本にも差別というものはあったし、今もあるのかもしれないが、それと人種差別というのはまた違った難しさがある。そして、人種差別は今もある。サンフランシスコを語るときに日本人差別の発想をスルーしてはいけない、そのことを頭に徹底的に入れておくべきだ。

一八九三年、サンフランシスコ市教育委員会は、市内の公立学校に通っている一〇〇名ほどの日本人児童に対して、支那人学校への隔離条例を決議した。
(p.130)
一九〇〇年には、同じサンフランシスコで大規模な日本人集会が開かれた。
(p.130)
特に太平洋の玄関である港町サンフランシスコ市民の反日感情は過激だった。
(p.131)

オレンジプランの話も出てきますね。

「日本を『完全な窮乏と疲弊』に追い込む。アメリカは日本を『打ちのめす』まで戦いを止めず、日本に「徹底的ダメージ」を与えて屈服させる。そして日本に『アメリカの意志』を押し付け『アメリカの目的』に服従させる」
(p.135)

日本は歴史的に、欧米社会から差別され続けてきたのである。このような事実は日本の歴史教科書にどのように表現されているのだろうか。そして、この章は、このような時代に大日本帝国国際連盟で次の提案をした話が紹介されている。

国際連盟の盟約は、人種平等の原則が固守されるべきである」
(p.137)

穿った見方をすれば、単に日本が人種差別されているから差別ヤメロ、というだけの話にされてしまいそうだが、とにかくこの提案は投票の結果、賛成多数で可決されたのだ。ところが、今の国連も大国のやりたい放題というシステムは変わらないようだが、アメリカのウィルソン大統領がこれを一方的に否決する。

「このような重大な案件は、全会一致でなければ、認めるわけにはいかない」
(p.138)

国際的に支持された主張が、アメリカという大国が否定したのである。つまり、アメリカは人種は平等ではないというルールに賛同したわけだ。今「差別反対」とか言ってトランプ大統領を叩いている国は、たった百年前にはおおっぴらにそういう考え方をしていたのである。

アメリカの差別というのがどのようなものか、もし知らない人がいたら、次のページも見ておいて欲しい。

日本の教科書では語られない 人種差別のおそろしい真実

 

日本はこうして世界から信頼される国となった: わが子へ伝えたい11の歴史
佐藤 芳直 著
小学館文庫プレジデントセレクト
ISBN: 978-4094700190