Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

嵐が丘

てなわけで、一通り読みました、嵐が丘。中途半端だとどうも落ち着かないし、読めば読むほど暗くなるのは仕方ないですね。

ざっとメインキャストを紹介しておきますと、アーンショウ家とリントン家が舞台となります。主人公はヒースクリフ。アーンショウ氏に拾われてきた子供です。アーンショウ家の娘キャサリンと一緒に育ちますが、アーンショウ氏が亡くなると使用人扱いをされることになります。キャサリンはリントン家のエドガーと結婚、ヒースクリフはリントン家のイザベラと結婚することになります。

キャサリンの兄のヒンドリーはバクチ好きでどうしようもない男になり、エドガーは他人とは一切かかわらない小者になってしまうのですが、二人を比較する場面があります。まず、どうしようもないヒンドリー。

この船長は、自分の船が座礁すると任務を放棄しました。そして乗員たちは船を救おうとするどころか、自分たちの不運な船を見棄てて反乱と混乱に陥ったのです。
(下巻、p.71)

エドガーに対しては、

彼は神を信じました。すると神は彼を慰めてくださったのです。
(下巻、p.71)

それにしては悲惨な死に方なんですけどね。もっとも、この小説の中では幸せな方です。キャサリンは錯乱状態になり、子供を産んですぐに死んでしまいます。イザベラはヒースクリフから逃亡した先で肺病で死んでしまい、ヒンドリーもエドガーもよく分かりませんが死んでしまい、両家の財産を手に入れて復讐を果たしたヒースクリフは土砂降りの雨の日に部屋の中でずぶ濡れになって死んでしまいます。殺人事件みたいな死に方ですな。

 引用文からも雰囲気が出ていますが、クリスチャンの一家らしき描写がたくさん出てきます。聖書の引用もたくさんありますが、それにしては危ない人間が多すぎます。宗教は人間を救うとは限らないという感じがします。

 

嵐が丘
E・ブロンテ 著
小野寺健
光文社古典新訳文庫
ISBN:9784334751999, 978-4334752002