Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

寂聴 般若心経―生きるとは (3)

さらに続くなんて書いてしまったからもう書くしかないですね。今日も瀬戸内さんの般若心経から紹介します。

余談ですが、この本に何度かニルヴァーナという言葉が出てきます。個人的にはニルヴァーナといえば伝説のロックバンドなのです。ボーカルの Kurt Cobain さんは 1994 年に頭を撃って自殺しました。最近「いつか聴いた曲」というブログで「Smells Like Teen Spirit」という歌を紹介しています。この世と決別することで何から開放されたのか。

この苦しみを絶つこと、四苦八苦の苦しみから解放されること、これが仏教でいう「解脱」です。サンスクリットでは涅槃、「ニルヴァーナ」といいます。
(p.85)

私の世代【謎】だと、解脱というのはオウム真理教のイメージがあったりしますね。

昨日紹介した中国の話の続きで、三蔵法師の話。これも何度も出てきます。三蔵法師の時代、国を出ることは禁止されているので、シルクロードの旅は違法行為です。道なりに行けばいいのですが、当時は GoogleGPS もなかったし、そもそもその道がどこかよく分からないほど荒れ果てています。しかし、目印がありました。

人の骨を目印にするんです。砂漠で倒れて死んだ人が、いっぱいいる。それが自然に風化して骨になっている。
(p.169)

中国はスケールがデカいですな。関係ない余談ですが、

今年は天山山脈の雪がどっと溶けて流れてきて、大洪水になっています。それは原水爆の実験をしすぎるからなんだそうです。
(p.174)

某国が水爆実験をしたとかいって世界の大国が猛反対をしているようですが、反対している国の中には大洪水になる位の実験をやっている国もあるわけです。地球温暖化の本当の原因は核実験なのかな。

仏教的な余談に戻ると、次の言葉は深いです。

それしか知らなければそれで幸福なんですね。
(p.175)

名言ですね。紙に書いてどこかに貼っておきたいものです。私は冬の寒い夜に夜食でカップラーメンを食べるのが好きです。電気代を節約してエアコンが切ってある寒い部屋で、綿入れを着て黙々とプログラムを書いています。寒いときに暖かいものを食べるところが醍醐味です。もしかしたらもっと至福の夜食があるのかもしれませんが、あまり知りたいとは思いません。赤いきつねで十分なのです。ラーメンじゃなくてうどんか。

寂聴さんの話を聞いて、『般若心経』はほとんどわかったわ」なんて思うでしょ。でも、その智慧も何も得たわけじゃないと言う。そんなのは空ですよと(笑)。
(pp.177-178)

分かったと「思う」ところが何か足りないような気はしますね。剣の達人は考えなくても斬れるといいます。考えていたらヤラれてしまう。無我の境地です。プログラムでも NULL と NUL は違います。そういえば最近、テレビでゼロと零の違いとかやってたな。

古都税の話も出てきます。これは面白いですよ。般若心経とは関係ないけど。

多くのお坊さんは食べられないんです。
(p.186)

坊主丸儲け、みたいな言葉もありますが、テレビでも最近のお坊さん、食っていけないから副業をしている、みたいな話をしていました。神主さんもそうらしいですが。瀬戸内さんは、そもそも拝観料とか取る時点でおかしいという考えのようですね。ただ、文化遺産を保守するのにコストがかかるというのは分かります。最近は油をかけて回る参拝者もいるし。こういうこと書いていいのかな、書いちゃいますけど、何でそういう人達に仏罰が当たらないのですか。実は当たってますか? タリバンは石仏を破壊したので大変な目にあったようですが。

十章は「呪」です。これは祟りとかじゃなくて、マントラ、呪文の「呪」です。しかし、いきなり小説家時代の話が出てくるからヘンな本です。原稿料を上げる交渉とか。

やっぱり戦うという気持ちは持たないとだめなんですね。
(p.207)

三島由紀夫さんの話も出てきます。瀬戸内寂聴さんは三島さんと文通していたとか。

それれで私が、禅林寺に太宰と森鴎外のお墓があるから、そこへ時々遊びに行っていますって書いて出したら、「自分は森鴎外をとても尊敬している。だから森鴎外のお墓をお参りする時は、自分の分まで拝んでください。そして太宰はだいっ嫌いだから、彼のお墓は拝まないでください」なんて書いてきましたね。
(p.212)

お墓に遊びに行くって、運動会でもするのでしょうか。楽しいな。後に出家するだけのことはありますね。

呪といえば、今でもいろいろ「おまじない」はありますよね。バグ回避のおまじないとか。

平安朝の頃には、病気はすべて物の怪に憑かれた呪いだと思われていたんです。
(p.214)

今は科学を信仰している人が多いと思いますが、とはいっても同時に「病は気から」を信じている人も結構いるでしょう。科学的にいっても気というのは重要で、免疫力が高くなるとか、そういう理由が付けられるかもしれません。何かだらだらしてきたので、さらに明日に続きます。って書くから明日も書かないといけなくなるわけだ(笑)


寂聴 般若心経―生きるとは
中公文庫
瀬戸内 寂聴 著
ISBN: 978-4122018433