Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

侵入 レベル7 (2)

昨日の続きで「侵入」です。この小説にはあまりサイバー的なシーンが出てこないのですが、ログを確認するシーンがあります。

レベル5の故障リストにレベル7の故障が記入されている。
(p.129)

こういうのは珍しいかもです。まあでもログをちゃんと分類、管理していないシステムは結構ありがちかもしれませんが、普通のエラーログの中に超 fatal な内容があったりすると見落とすこともあります。ログは気をつけないとヤバい情報もかなり含まれることがあるので要注意なのです。

リアルな話といえば、プログラマープログレが好きという伝説が昔はあったような気はしますが、

「グレートフル・デッド、スター・シップ、B52、トム・ペティサンタナがくる。それに、ザ・フーを忘れちゃいけない」
(p.140)

ザ・フーは「けいおん!!」のネタに出てきましたっけ? 実はこの小説は野外コンサートがキーになっています。フェスです。音楽に魔力があるという設定はマクロスが有名? 戦争を終わらせてしまいますからね。

ピーターは物理学者ですが逃亡中に発電機の修理までやります。プラグを清掃しただけのような気もしますが、って発発ですか。エンジン修理。

「太古の昔から道具を使ってきた人類の記憶があるんだ」
(p.263)

叩きなさい、というのは聖書にも書いてありますね。最近の家電は壊れたら直しようもないのが多いですが、私はエンジンを直せる自信がないです。Windows が動かない的な故障なら得意なんですけどね。もっとも青い画面になってしまったらどうしようもない。機械というのは基本原理が分かれば修理パターンみたいなのがあるのです。

プログラマー心理に似たような描写もいろいろ出てきます。

もし間に合わなければ、間に合わないのだ。
(p.412)

何の話でつか、という感じもしますが。間に合わないだけだ、というのは悟りの境地に似ています。プログラマーになるのに必須の条件として、間に合わなくても慌てない、納期は破るためにある、みたいなモノはあります。もう一つ印象的だったのは、ポンスとキャプテンという2人のハッカー【謎】が新しいヤバいマシンをテスト稼動させるところ。ポンスがボタンを押すのをためらいます。

「キャプテン、正直なところ、すこし心配なんだ」とポンスは答えた。「このスイッチを押すときはいつだってそうだ」
(p.282)

サーバーのプロセスを kill する時とか、私は不安になる派です。気にしないで押すタイプの人もいるようです。

ところで、この小説にはエイダという名前の数学科教授が出てきます。

Ada Stibbits
(p.426)

上から読んでも的な名前になっていますが、Ada というのは伝説のプログラミング言語の名前なので、そのあたり意識すべきかもしれません。この言語、何でもできる最強プログラミング言語を目指したのですが、バベルの塔は崩壊するものと決まっているわけです。言語といえば、不思議なことに COBOLFORTRAN も現役です。こういうトラディショナルな言語はそのうち誰も使わなくなるという話は30年ほど前に聞いたような記憶があるのですが…。


侵入 レベル7
扶桑社ミステリー
ダーク ハンソン 著
天野 隆司 訳
ISBN: 978-4594003937