忍者モノの時代小説。面白いです。こういう本は夜通し読みたいですね。風太郎は「ぷーたろう」と読みます。この巻の舞台は関が原が終わって大阪冬の陣あたりまで。私はなぜか文庫本の上巻と単行本の後半しか読んでないんですよ、こういうパターンは珍しいだろうな。
上巻は、風太郎という忍者が瓢箪を作る話です【違】。忍者系の話ならカムイ伝や子連れ狼のようなマンガを結構読んだので、すんなりと理解できたような気がしますが、瓢箪はよく分かりませんが。忍者というのは必ず必殺技を持つことになっていますが、
本当に優秀な術を使う男なら、どんな技を持っていたか、逆に誰も知らないはずだ。
(p.18)
他人がその術を知るときは死ぬ時ですね。「たまゆら」って知ってますか、手裏剣の技です。剣術には口伝とか秘伝が多いので、誰も知らない技がたくさんあります。なぜかよく知られているのが謎です。技の維持も大変なようです。
怠けていると、あっという間に腕が落ちる。それでいて元に戻るには、三倍の時間がかかる。
(p.247)
受験生は3日サボったら成績が下がるそうですが、忍者も復習が大切なんですね。
戦はいつも突然やってくるという婆さんのお言葉が深いです。
毎日安穏に暮らしているときこそ、いちばん気をつけなくてはいかん。気がついたときには、もう始まっているのがいくさというものじゃ。
(p.356)
どこかの国がバンバン打ち上げているミサイルって、そういえばどうなりましたかね。
下巻、というか後半ではもっとバトルが凄くなりますが、忍者が出てくるだけに、戦闘シーンは圧巻です。敵にもラスボスみたいな強敵がいて、味方の最強戦士の左門がヤラれてしまいます。後でねね様が風太郎に尋ねます。
「左門はよい死に様じゃったか」
(p.400)
人間、生き様じゃなくて死に様ってことですかね。そういう時代もありました。今もそうなのか。
とっぴんぱらりの風太郎 上
万城目 学 著
文春文庫
ISBN: 978-4167906894