Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

人はなぜ騙されるのか―非科学を科学する

ギター侍的にいえば、トンデモ科学、斬り~、みたいな本です。ギター侍ってどこ行ったんだろ。

科学的・論理的思考で心霊現象や超能力、UFOなどの逸話を冷静にぶち壊す感じのエッセイ集。各エッセイは2ページで書いてあるのでとても読みやすい。また、単なるトンデモ科学批判ではなく、こういう話も出てきます。ページは単行本を参照しています。

近年、大学の文系学部の入試科目は「英語・国語・社会」の三教科であることが多い。だから、文系学部の学生は、高校時代に自然科学を体系的に学習する機会を早期に放棄していることが多い。自然認識の知識が体系として定着していないし、そんなもの未練もない。
(p.83)

論理的思考は国語の授業でも勉強するはずなのだけど、それだけでは足りないという感じは確かにしますね。 じゃあ、論理的思考をしない人は一体どうやって判断するのかというと、

たとえば、ある現象が「超常現象」かどうかが問題になった場合、その問題について自分では判断せず、自分が尊敬している人や信頼している人の見解に準拠して態度を決めるのだ。
(p.84)

これはありますね、知恵袋でカテゴリーマスターの回答だからといって信用する人とか(笑)。そのうち詐欺られるんじゃないかと心配です。ちなみに私のいつも言っているセリフは「幼稚園児だろうが大学教授だろうが、正しいことを言えば正しいし、間違ったことを言えばそれは間違っている」なのですが。

面白い逸話も結構あります。 例えば次のクイズ、私は知りませんでした。蛍の光という歌がありますよね、明かりに使う油が買えないので蛍の光で勉強したとか。夜目もかなり強化されてそうですが、その努力家エピソードの主人公、車胤さんにまつわる話です。

ある男、車胤が夜遅くまで蛍の薄明かりで勉強していると聞いて、昼間はいったいどんな猛勉強ぶりなのだろうかと思い、ある日の昼下がり車胤を訪ねて行った。いったい、車胤は何をしていたか
(p.100)

個人的には、ナスカの地上絵には社会経済学的な意味があるのでは、という話(pp.132-133)も面白かったです。


人はなぜ騙されるのか―非科学を科学する
安斎 育郎 著
朝日新聞社
ISBN: 978-4022569271

朝日文庫
ISBN: 978-4022612489