Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

涼宮ハルヒの驚愕(後)

昨日に続いて後編の紹介です。ところで皆さんは寝言を言うタイプですか、と言われても寝ている間は気付かないから分からないですよね。寝るときにヘンな寝言を言わないか心配だ、とか考えたことはないでしょうか。ハルヒの場合はスケールが壮大です。

おそらく無意識による現実操作でしょうね
(p.28)

意識しなくても自分に都合のよい世界を作り出してしまうのですから神を凌駕しています。意識していればアタフタ悩まずに済むのにモッタイナイですね。ハルヒはさらに予測までやってのけます。

その時点で涼宮さんはこれから起こる事態を予測していた。もちろん無意識にです。
(p.239)

無意識の予測って予測したことになるのですかね。まあその予測への対応までやっているから、ブラックボックスの中で全部済ませてしまう感じかも。もっとも、未来を変えることは、この巻のテーマにもなっています。佐々木さんも、こんなことを言ってます。

未来など何とでもなると思おうよ、キョン
(p.74)

Yahoo! 知恵袋を見てると、最近の子供は「才能とお金がないといい大学には行けない」と考えていることが分かりますが、才能って何なんでしょうね。頭の性能には個人差があまりないというのは医学的に検証されているはずなのですが、ラノベやアニメに出てくるキャラは最初から個人差ありまくりなので、それが現実だと思っているのでしょうか。ハルヒと佐々木さんには、

性別を超越した何とも上手く言えないし言いたくもない奇怪な吸引力
(p.114)

が感じられるというキャラ設定なのですが、「言いたくもない」って何ですか、レベルが違いすぎると理解できないけど納得してしまうみたいな?

未来に関しては、朝比奈さん(大人バージョン)ですら、こんなことを。

「未来は変えることができるでしょう。そうならないようにすることだって」
(p.171)

そういわれても、我々に許されているのは現在の選択肢だけなので、結局、未来が勝手に変わるという解釈でいいような気もしますが、ま、過去に戻って書き換えるという都合のいいストーリーよりはリアルかもしれません。

さて、後編に出てくるハルヒの勉強法講座。最後の最後に出てくる菅原道真の歌も印象的ですが、今回は現代文講座。

くだらない問題だわ。小説でも評論でもそうだけど、文章なんて何が書いてあるかが問題なんであって、筆者が何を思って書いたのかなんて出題者が本人でない限り解るわけないじゃない。
(p.84)

ですよね。ていうか、ココが入試の現代文のキモなのですが、大学入試に出るのは「何が書いてあるか」という問題であって、筆者が何を思ったか、というような問題は出ません。これを勘違いしていろいろ妄想してしまう人は、たくさん本を読んでいるのに現代文が解けないというジレンマに陥ります。考える人ほど解けなくなるのです。


涼宮ハルヒの驚愕(後)
谷川 流 著
いとう のいぢ イラスト
角川スニーカー文庫
ISBN: 978-4044292126