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Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

ぼくは麻理のなか

何の因果か知らないけど5月7日に紹介した「君の名は。」の公式ビジュアルガイドから繋がってしまったので紹介してみます。

話は、大学に行かなくなってアパートで一人でナニしている引きこもりの男、小森くんが、ある朝起きてみると、いつもストーカーしている女子高生の麻理さんの体になっていた、というところから始まります。

そしてある朝、僕は彼女……麻理のなかにいた。
(1巻表紙)

起きたら女子高生になっていた! どこかで見たような話ですが、このマンガは2012年から漫画アクションで連載。まあこれ以前にも、そういう話はたくさんありますけどね。起きたら別人になっていたというのはカフカ変身とかあるし。あれは人じゃないか。

こういう場合、アレもそうでしたが、とりあえずおっぱいを触るのがお約束なんですか? 実際なってみないと分からないか。ちなみに、おっぱい突いてみるところまでは amazonなか見!検索で確認できます。

とりあえず麻理さんのふりをして高校に行ったら親友の柿口依(ヨリ)さんにいきなりバレます。

おまえ誰だ
(1巻 p.148)

そういえば町長がネクタイ握られて「ふざけんな」と言われたときにそういうこと言ってましたっけ。誰だといわれても困りますよね。その後、麻理さんの心はどこに行ったのか、二人で探すことになるのですが、前回、これは変態マンガみたいなことをチョロっと書いてるけど、褒めているというのは伝わってるよね。その昔、青年コミックよりも少女マンガがエロすぎると批判された時代もありました。この作品はジャンルとしては青年向けコミックで、個人的なアレのレベル評価としては、少年向けよりも上だけどその手の少女マンガより下って感じ。

普通に書店で売っているマンガなんだけど、まあそういうことなので、そういうのは嫌だという清純派の人は見ない方がいいです。特に4巻と5巻はダメです。やめてください。とか書いたらそこだけ買う奴いるような気がちょっとした(笑)。

とはいっても、4巻は夫婦喧嘩のシーンとか壮絶な伏線になってるからスルーできないんだけどね。

理解者
ぶらないで
何もわかって
ないくせに
(4巻 p.61)

麻理さんのお母さんのセリフです。このケンカのところで、麻理さんは

誰も見てない
私を
(4巻 p.68)
見てるのは
私の皮だけだ
(4巻 3-p.69)

そりゃ見えるのは見えるものだけだし。このあたりが全体のテーマになっています。

このマンガのキーマン…じゃないや、キーウーマン? 醤油みたいだな。キーギャルなのは、当たり前だけど依さん。依さんとの保健室のシーンのところで、麻理さんになっている小森くんの回想シーン。

麻理さんは
それを見て
…なんだろう
自分みたいだな
って思った
まるで……
(5巻 p.153)
小さい頃の自分
みたいだなって…
(5巻 p.154)

人格が入れ替わっているのなら知らないはずのことを知っているのですが、このあたりから依さんの態度が激変していきます。はい、これで6巻に繋がったから4、5巻見なくてもいいよね(笑)。

とはいっても、7、8巻あたりからクロージングがミエミエになってくる感じがしないでもない。ていうか、まるで別作品のよう。

「麻理」っていう
人形だけ見てたんじゃ
ないですか
(8巻 p.74)

内面を理解できないというのはテーマとしては定番なのかもしれませんが、この作品としては深いのか浅いのか私にはよく分からない。こんなことで本当にここまでこじれるのか、というところに違和感がなきにしもあらずであります。そうはいっても最後は少し考えさせられるかも、

じゃあ
本物って
何…?
(9巻 p.132)

全裸の男に言われても…という気もしないでもないが。ここはとりあえず深いよね。本物哲学ゼロってマンガありますよね。贋作のプロ。本物と区別できないレプリカを作って、本物は一つでいいとか言う奴。これもエンディングはそうきたか、みたいな話で面白いですがまたの機会に。そもそもAIとかやってたら、人格なんて全部他人のコピーみたいな気がしてくるものです。

しかし、押見さんのあとがきが、

この漫画を描いて、僕は自分の中に
女を見つけました
(9巻 p.191)

このマンガ、結局ここが一番深いのではないか、とか思うわけです。


ぼくは麻理のなか
押見修造
双葉社
全9巻