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Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

非亡伝

今回は全世界に出て行きます。既に背景となる世界が異次元感覚なので今更世界といわれても、という感じがしなくもないけど。出てくるキャラは四国編からリクルートした人達なので引き継がれています。安心感があります。あのヘンな魔法少女たちもちゃんと出てきます。

いろいろ面白いエピソードはあるのだけど、個人的に一番気になったのは些細なところで、土使いのスクラップこと好藤覧と火使いのスパートこと灯籠木四子がイギリスまで調査に出かけるときに直線移動したというところ。

日本からイギリスまで、トンネルを掘って到達したのである。地球を半周するような距離を掘削し、最短距離で…
(p.125)

豪快だね。地球を半周というのは厳密にいえば日本とロンドンの時差が9時間だから、0.375周って感じかな。トンネルを掘って地球表面上、いや、地球表面下を地上の建造物を無視して最短で掘った、ってことなのかな。モグラタンク的な。しかし東京でちょっと地下鉄のトンネルを掘るだけでも水が噴き出てきて大パニックになるのに、本当に大丈夫なのか、地底人との遭遇とかないのか、と思ったりしますが。

一路というなら、まさしく一路の、直線移動。
等速直線運動
(p.125)

マジ直線で掘るとマグマとか噴出してきそうで危険ですよね。ていうか、地球の半径は約 7000km で、本当に直線を引くと一番深いところは地球中心から約2800km、地表からは3100kmの距離になる。これはマントルを越えてコアの領域。これがコアか。熱いとかで済む世界ではありま温泉。

地下二千メートルに生じる『地熱』をコントロールして
(p.125)

2000m = 2km も掘ったら流石に温泉どころではなさそうだが、いや、結構深いところまで掘って出す温泉とかあったような気もするなぁ。石油は出てこないのだろうか、とかいろいろ妄想してしまうけど本編とは何の関係もないです。

この巻は全世界で調査してこいというミッションなのですが、捜査の基本はペアということで2人ずつ調査に乗り出します。最初に紹介した好藤・灯籠木ペアは2人とも天才的魔法少女という設定です。ていうより天災的な気もしますけど。この二人の天才魔法少女が超人のボス、空々上司を評して、

完璧主義者じゃないってことねー。強いていえば、不完全主義者かな?
(p.122)

これは面白いと思いましたね。私は無主義主義者を自称していた頃があったど、不完全主義者というのもいいな。完全な不完全を目指すんですよね。

ちなみに気になる魔女のかんずめちゃんとペアを組んだのが人類最強の天然少女、地濃様。うっかり「様」付けちゃったよ。付けたくなるよね。魔法が使えるとはいえ少女が海外にいきなり調査に行って、けいおん!!みたいなことにならないのか、ほにゃららラーニングとかやった方がいいんじゃないか、とか思うかもしれませんが、

それはディスコミュニケーション能力、あるいはアンチコミュニケーション能力とでも言うべきものなのかもしれないけど、現地の人間相手にも一歩も引かず、日本語と身振り手振りだけでぐいぐい行く彼女は、とうとうここまで、郷に入りながらも郷に従うことなく、己を貫いて、仕事を成し遂げていた。
(p.323)

そりゃ英語分からない日本人が変な英語使って会話しようとするよりは、アニメ好きで片言が分かる外国人でも探して日本語で押しまくった方が伝わるような気もしますよね。本当はテレパスなんじゃないのか。

この巻のお言葉からは、2つセレクトしてみました。

本番に弱いタイプって、いったい何に強いんだ?
(p.216)

リハーサルとかシミュレーションみたいな普通の反応でなくてうまくボケたいと思ったけど、何も思いつきません。追試とか。模試とか。

「出る杭は打たれる」というのはあくまで被害者側の言い分であって、大多数の人間は、「出る杭を打つ」側だ。
(p.454)

昔は打つ人も少なくて、大多数は傍観者だったのですけどね。見せしめの刑とか。生き埋めにしてのこぎりで切ってください、みたいな。「罪のない人だけが石を投げなさい」といったら集まっていた人達が一斉に石を投げ始めた、って何の話だっけ。ITが使えるようになって、杭を打つ人はとても多くなったようです。炎上の時代なのです。


非亡伝
西尾 維新 著
講談社
ISBN: 978-4062990615