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トンパ文字―生きているもう1つの象形文字

絵文字ってあるでしょ、元はパソコン通信のような世界で、文字を使って顔を作っていました。日本だと (^^) というのが有名かな。欧米は :-) みたいなの。携帯の時代になって、本当に絵の文字が出てきた。絵の文字というよりも文字サイズの絵だね。ITが進化して、字は絵になった。

では昔はどうなの、というと何千年とか前だと象形文字の世界で、エジプトのヒエログリフとか有名ですよね。こういうのを書くのは大変なので最適化された成れの果てが今使われている諸言語です。アルファベットとか、日本語だと仮名とか漢字とか。絵は転じて記号になりました。

ところが今も使われている象形文字があります。雲南省北部にのナシ族の使うトンパ文字です。これは日常的に使われているわけではないのですが、この本の写真を見ると看板などにも使われているようですけど、本来これはトンパと呼ばれる人だけが使う文字で、それ故トンパ文字といわれているそうです。本文ではこんな感じで紹介されています。

トンパとは、ナシ族の原始宗教であるトンパ教の祭司(または、伝教師)のことであり、「智者」を意味する。
(p.62)

日本でいえば、お坊さん、いや宮司さんかな。宗教的に偉い人のようです。具体的なお仕事は、

トンパは厄除け、お祓い、先祖を祭る祭典、死者を鎮める儀式など様々な宗教の儀式を行うが、加えて知識人として占い(占星術、紐占い、骨占いなど)や医療活動なども行う。
(p.63)

紐占いというのがちょっと気になるけど。こういう伝統文化は消滅の危機に…というのがどの世界でも常らしく、トンパの文化もピンチのようですね。

トンパの伝統を受け継ぐ若者は久しく現れない。
(p.80)

そのような文化に関する日本語で書かれた本が手に入るというのはびっくりです。実はこの本、本文は日本語だけでなく英語で併記されています。ときにはトンパ文字も出てきます。

本の前半、第1章がトンパ文字で書かれた物語の紹介、第2章が旅行記になっています。どちらもカラー写真がたくさん出てくるので見ていて楽しいです。そのような異次元世界の人達がどのような生活をしているのかというと、日本に似ているというから驚きです。雲南省のような遠く離れたところに日本に似た世界があるというのは興味津々です。一体どういう必然性があったのでしょう。

町を歩いていると、軒先にトウガラシや柿、カンピョウ、大根などを干している光景をよく見かける。日本の農家と同じ光景である。なかでも、私が一番驚いたのは、そばとうどんである。
(p.50)

そばやうどんの食べ方が日本と同じだというのです。村は高地にあって、わさびの話とか出てくるあたり、信州とかのイメージで何となく想像してしまいます。

p.81から p.171 まではトンパ文字の一覧で、辞書みたいなものですが、絵文字って辞書引くときに困りますよね。いや、手書き認識すれば大丈夫なのかな。どんな字なのか興味があれば、ググれば画像が見つかります。じっと見ていると何となく漢字のように見えてくるのも面白いです。



トンパ文字―生きているもう1つの象形文字
王 超鷹 著
マール社 発行
ISBN: 978-4837304142