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眠れ、蒼く深き海の底

元宮ことはさんの「幻獣降臨譚」シリーズ、13冊目。本当は1冊目から紹介したいのだけど、今ココなので背景だけ紹介しておくと、ファンタジー系のラノベ。いわゆる剣と魔法の物語。アリアという少女がとんでもないドラゴンを召喚して大騒ぎというストーリー。

アリアに限らず、出てくるキャラが全体的に子供っぽい。発想とか、考え方の話である。そのような読者を想定しているのかもしれないが、ラノベ的には普通に軽く読めるのでいいと思う。ハヤカワFTみたいな本格派だと心理描写も伏線も物足りないかもしれないが。その子供っぽいキャラもだんだん成長して大人になっていく、のような背景があるのも影響しているのかもしれない。

幸せって――うーん。幸せってなんのこと? 毎日楽しいけど……それじゃ駄目なの?
(p.64)

シェナンという、前国王の息子で権力争いから逃れて逃亡している、どこかで聞いたような話だが、そのシェナンが庶民の家を訪れてあまりのヒドさに閉口しているところに騎士団長が「幸せかどうかは、家の大きさで決まるわけじゃない」と言って、子供に幸せかと問いかけたときの返事がこれだ。

この巻にはリヴィアサンが出てくる。海の底で眠っているこの幻獣にアリアが寂しくないかと問いかけたときに、リヴァイアサンは寂しくないという。

夢が、見られれば、それでよい
(p.145)

確かに、幸せも不幸も大脳の活動した結果に過ぎない。どんな環境だろうが脳が幸せだと認識すれば幸せだし、不幸と結論すれば不幸が訪れる。胡蝶の夢という言葉もあるが、夢だろうが幸せという考え方は、環境や物欲に支配されてアタフタする人達に比べるとある意味正常で、究極の人生法かもしれない。

 

眠れ、蒼く深き海の底
元宮ことは著
講談社X文庫
ISBN978-4-06-286601-9