Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

書籍

「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠陥

今日の本は芳沢光雄さんの「「%」が分からない大学生」。 先日紹介した「勉強できる子は○○がすごい」の中にこの本の話が出てきたので、とりあえず内容を確認しておこうと思って読んでみたら、最初からちょっと驚きました。 憂慮すべき点は、その種の問題で信…

思考と意味の取扱いガイド (2)

今日は「思考と意味の取扱いガイド」の続きから紹介する。 イディッシュ語はユダヤ語ともいわれている、ドイツ語に近い言語だ。 物語をイディッシュ語から日本語に翻訳するとしたら、日本語の音韻語の連なりを作って、イディッシュ語の連なりと同じ意味に結…

思考と意味の取扱いガイド

今日の本は「思考と意味の取扱いガイド」。 思考とは何か、とか、意味とは何か。という哲学的な話題を比較的ざっくりと考えた感じの本。内容は 43のパートに分かれている。引用時にどのパートかを示すことにする。 哲学者のヒラリー・パトナムは「「意味」の…

勉強できる子は○○がすごい

今日の本は「勉強できる子は〇〇がすごい」。 メタ認知の話です。要するに「勉強にはメタ認知が必要」という内容。ところでメタ認知とは何ぞや。 メタ認知とは、自分の認知について客観的に俯瞰し、現状を評価し、さらには必要に応じて修正するなど、認知活…

礼記 中 (2)

今日は礼記の中巻の続きです。紹介するのは「學記第十八」。學記というのは、 学問の目的、教育の方法、教師の責務などを述べ、かつ尊師の風を強くすべきことを説く。大学篇と合して儒教の学問論の基礎をなしている作品である。 (p.542) ということで、この…

礼記 中 (1)

今日は礼記の中巻から紹介します。 まず「內則」から。內則はダイソクと読み、家庭内の礼儀規則のことだそうです。 子能食食、教以右手。 (p.451、內則第十二) 子供が自分で食べるようになったら右手を使うようにさせろ、という話です。何かする時に全員が右…

NHK子ども科学電話相談 ものの見かたが変わる 10歳からのQ&A

今日の本は「NHK子ども科学電話相談 ものの見かたが変わる 10歳からのQ&A」。電話というのが、今の時代としてはちょっとひっかかりますが… 子供が読むことを想定した内容です。とんでもない難問が出てきますが、子供に分かるように答えるのが難しいだけでな…

礼記 上 (3)

今日は「礼記」の上巻の3回目。上巻は今日で最後です。 まず音楽について。音楽は当時とても重視されていたようです。 凡三王教世子、必以禮樂。樂所以修內也。禮所以修外也。 (p.312、文王世子第八) およそ(夏殷周)三代の聖王たちが世子を教育するには、必…

礼記 上 (2)

1月はとりあえず本の紹介で1日から31日まで埋まったのかな、もう後が続かないので雑記とかアニメを混ぜたいのですが、とりあえず今日は礼記の続きです。 まずこのあたりから。 孔子曰、啜菽飲水盡其歡、斯之謂孝。 (p.159、檀弓下第四) Yahoo!知恵袋でよくあ…

礼記 上 (1)

今月最後の本は、礼記(らいき)。 儒教の教典です。みたいな話は漢文か歴史で教わったかもしれませんが、よく覚えていません。 今回読んでいるのは明治書院発行、竹内照夫さんによる注訳本です。上中下の3巻構成で、上巻は曲礼上第一から礼器第十まで、中巻は…

日本の方言

今日の本は柴田武さんの「日本の方言」。 方言に関して、どのようなものがあるかを単に紹介するだけでなく、アクセントや発音を比較したり、共通語による影響、教育のような分野で何が起こっているかなど、多種の話題が出てくる。また、考察はかなり科学的だ…

流浪の月

今日の本は凪良ゆうさんの「流浪の月」。 冤罪的な話です。いろいろアブノーマルな設定が出てくるのにナチュラルな感じがするから不思議です。 出てくる人が皆病的で、そこが逆にリアルな感じ。 やっていないのにやったと誤解されるというプロットは、以前紹…

UTFR合格体験記Ⅶ

日本人を考えるのストックも尽きたし、やっぱり毎日書評は無理だろと思いつつもう28日目なので、何とかあと4日頑張れないか模索中です。今日は「非進学校の東大生による、孤独に東大を目指す受験生のための合格体験記Ⅶ」から紹介します。 いきなりですが、東…

新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (7)

今日は「新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集」から。この本の紹介は今回で最後です。 まず、山口瞳さんとの対談を紹介する。 タイトルは「東京・大阪〝われらは異人種〟」。 この対談は1971年に行われた。 〝哲学の小径〟は田舎から京都大学に入った学…

新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (6)

今日は「新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集」から、 桑原武夫さんとの対談を紹介する。 タイトルは「〝人工日本語〟の功罪」。 この対談は1971年に行われた。 ここで「人工日本語」というのは、方言に分かれていた旧知の土着の日本語ではなく、共通語…

新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (5)

今日も司馬遼太郎さんの「日本人を考える」から紹介する。最初の対談相手は高坂正堯さんで「政治に〝教科書〟はない」。 高坂さんは国際政治学者で、ざっくりいえば、やらせて失敗体験をさせないとうまくいかない、という話をする。政治のテクニックとして語…

新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (4)

今日も司馬遼太郎さんの「日本人を考える」から。まず、梅原猛さんとの対談で、「西洋が東洋に学ぶ時代」。禅に関する話が出てくる。 どう考えてみても禅というのは天才のための道だと思うんです。 (p.71、司馬) 仏教といえば南無阿弥陀仏で誰でも救われるみ…

新装版 日本人を考える 司馬遼太郎対談集 (3)

今日は司馬遼太郎さんの「日本人を考える」から紹介する。2021年4月7日に「(つづく)」と書いたきり放置していた続きだ。 今回の対談の相手は犬養道子さんで、タイトルは「〝あっけらかん民族〟の強さ」。1969年12月の対談である。 個人的には強く共感してい…

言語が違えば、世界も違って見えるわけ (2)

今日の本は「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」、の続きを。 かつて、文明の進んだ社会の言語の方が複雑だという誤解があった。そのような誤解が生まれた理由は、原住民は片言の言葉しか話さないからだ…というのだが、 「原住民」が話す原始的言語はど…

UTFR合格体験記Ⅵ

いやこれ毎日紹介は無理でしょ。本だけ読んで生活しているわけじゃないんだし。調子に乗って礼記とか読みだしましたが、こんな本でしたっけ、みたいな。 生有益於人、死不害於人 (礼記、上、新訳漢文大系、明治書院、p.125) 死して屍拾う者無し【謎】、とい…

言語が違えば、世界も違って見えるわけ

今日の本はガイ・ドイッチャーさんの「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」。 言語は思考に影響を与える、という説がある。英語で考える人と日本語で考える人とでは考え方そのものが違う、というのだ。言語と意味の関連でよく例に出てくるのが色だ。虹の…

バガヴァッド・ギーター

今日の本は「バガヴァッド・ギーター」。先日紹介した「リベラルアーツ」で推薦されていたので、読んでみました。 読みやすい新訳というのですが、 それは万物の外にあり、かつ内にあり、不動であり、かつ動き、微細であるから理解されない。それは遠くにあ…

なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか イノベーションの興亡と未来

今日の本は「なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか」。 日本人は型を崩すのが下手だから、という指摘があります。これは一理あるというか、形から入るというのは確かに日本人的な発想です。 文系と理系を分けてしまう教育システムに関係がある (p…

リベラルアーツ 「遊び」を極めて賢者になる

今日紹介する本は浦久俊彦さんの「リベラルアーツ」。 ざっくり言えば、リベラルアーツについて書いてある本ですが、いやそれは当たり前か。要するに何を言ってるかというと、 古典を読め。 これに尽きます。温故知新です。この新書、結構真剣に読んだのです…

東大2023 東大等身大 (現役東大生がつくる東大受験本)

そんなに毎日本を読んでられないのだが…ということもないのですが、流石にそろそろ雑記にしたいです。といいつつ今日は「東大2023 東大等身大」を紹介します。 東京大学新聞社が毎年発行しているムックですが、等身大という大学が出来たのかと思いました。 …

UTFR合格体験記Ⅴ

今日はさらに昨日に続いて「非進学校出身東大生による、孤独に東大を目指す受験生のための 合格体験記Ⅴ」を紹介します。 この本を発行している UTFRは、その高校から東大に合格した学生が1人、というような状況で受験勉強をしてきた人の集団です。そのような…

UTFR合格体験記Ⅳ

今日は昨日に続いて UTFR が発行している合格体験記。4冊目のタイトルは「非進学校出身の東大生による、孤独に東大を目指す受験生のための 合格体験記Ⅳ」から紹介してみます。 Ⅳは、2浪で合格した人や、高専から編入した人、推薦で法学部に合格した女子など…

非進学校出身東大生による合格体験記Ⅲ

流石にもう本の紹介が続かないので今日は雑記にしようと…思ったのですが、これも本でいいかなということで、「非進学校出身東大生による合格体験記Ⅲ」を紹介してみます。タイトルから予想するに、シリーズ3冊目のようです。 この本は駒場祭の UTFR のブース…

ケーキの切れない非行少年たち

昨年末は雑記が続いたので頑張って毎日本を紹介してみましたが、流石にキツくなってきました。ということでもう雑記でいいや、と油断させといて、今日の本は「ケーキの切れない非行少年たち」。 一時期バズっていた本だと思います。確かケーキの3等分問題が…

「文」とは何か 愉しい日本語文法のはなし

今日の本は「「文」とは何か」。 文法の話ということになっていますが、いろんなネタが入っていて、国語の授業でやるような文法とはかなり違っています。特に特徴的なのが第六章から。。チョムスキーの生成文法が出てきます。私がチョムスキーを習ったのは多…