Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

キノの旅XX the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第20巻。

第一話「人間の国」では、お茶の効能が書かれています。

一度沸騰させることで殺菌され、茶葉によって水には味と色が付いて、多少汚くても気にせずに飲むことができる。
(p.18)

生水を飲むのは危険なので一度沸かしてお茶にする。味と色が付くことで汚れが分からなくなる。言われてみればそうですが、全く気付いていませんでした。しかし最初から色が付いている水を飲んでも大丈夫なのでしょうか。沸騰させれば、モノスゴイ色でない限り問題ないような気もしますが。

この話には、進化、いや退化? よくわかりませんが、野生化した人間が出てきますが、割と平和に生きています。

どんな動物も、生きる場所と食べ物と繁殖が保証されていれば、命を奪い合うような争いはしません。
(p.33)

本当にそうなんでしょうか。まあどうでもいいですが。

第三話「拘らない国」は、二股、ミツマタ【謎】でも拘らない、恋愛フリーな国。こんなセリフが。

〝たった一人を好きになってつきあうだけでこんなにも幸せなら、二人目がいたらどんなにステキだろう〟
(p.70)

オオカミ少女と黒王子」に出てくる神谷みたいな思想ですかね。ちょっと違うか。神谷は途中でポリシーを変えてしまいますが。

第五話「宝探しの話」はシショーとデシの話です。シショーと師匠は何が違うのか、という問題があるのですが、実は未だよく分かっていません。ということで、それはおいといて、1日だけ入れる国があって、中にはお宝がざっくざく、ということで宝を持ち帰ろうという人達が集まってくる話です。シショーとデシもその中にいるのですが、

ここにお宝を求めて集まった連中なんて、例外なく人間のクズだと思って行動した方がいいです。
(p.142)

自分達もそれに含まれている前提で言っているのかどうか。間違いなく含んでいそうですが。

第八話「羊たちの草原」は、アニメ化されています。キノ vs 羊、みたいな。羊といえばおとなしく殺されて生贄になるイメージですが、大群で攻めてきたら怖いですね。角あるし。

「撃ち殺す? 夜はラムステーキだ」
(p.226)

マトンはちょっと硬いイメージですね。カレーにすると美味しくいただけます。


キノの旅XX the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048923965

キノの旅XIX the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第19巻から。

第二話「天才の国」は、赤ちゃんが生まれたらすぐに検査して、天才の素質があったら国が引き取って育てるというシステムが出てきます。子供が天才だと判定された若夫婦は、

白い服の一団が提示した、彼等の年収に匹敵する金額を見て、満面の笑みを作りました。
(p.46)

年収に匹敵…というところで、アレっ? と思ったのですが。低くね? これはオチまで読めば納得の金額なのでした。

第五話「戦えない国」は、結構ひねった話。飛行船が出てきます。

アレを我々は、〝災厄の白い魚〟と呼んでいる。
(p.101)

リゼロに出てくる白鯨みたいな感じ?

第七話「助けに来た国」は、フォトがメインのちょっと泣かせる話です。何百年も前に移住する時、全員で移動できなくなったため、いつか必ず向えに来ると約束して島に仲間を残します。その仲間をようやく向えに行くというストーリーです。なぜ何百年も放置してしまったのか、理由はあれこれ出てきますが、

結局、誰もそんな危険を冒したくなかったのだ。私達は、〝出来ないから〟と代々言い訳してきたのだ。
(p.148)

超望遠レンズが真相を解明するというオチがリアルで凄いです。


キノの旅XIX the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048654401

キノの旅XVIII the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第18巻。

まず口絵イラストノベルから。文庫本の最初に、カラーイラスト付きのショートストーリーがあるのです。「草原の話」、

ここから南東二百メートル先に見える木に、大きな板が吊るされています。ここから、パースエイダーで撃ってください
(巻頭カラー)

撃つと音が鳴るのですが、なぜ音を鳴らすのかというオチが綺麗です。

第三話「税金の国」。必要なサービスに応じて税額が変わるというアイデアは、ある意味理想的・合理的な税徴収サービスかもしれません。それを逆手にとって人を轢いてお金をもらうキノも流石です。

第八話「お金の国」に出てくるのは、とにかくお金を集める国です。

その国の人達は、完全に思い込んでいたそうですよ。〝お金さえあれば幸せになれる!〟って。だから、とにかく〝お金を! お金を!〟と、集め始めたのです
(p.1799)

お金は使ってこそ幸せになれる、といいたい訳ですが、そう簡単に終わらせてもらえないのがキノの旅なんですよね。

ということで、今回のちょっといい話は、「頭のいい人には見えないあとがき」から。


(p.253)


キノの旅XVIII the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048669351

GOSICK -ゴシック-

今日はアニメで「GOSICK -ゴシック-」。原作の著者は桜庭一樹さん。2011年の冬・春アニメです。

主人公の少女ヴィクトリカが、久城 一弥の協力を得て謎を解いていくストーリーです。そして、全体としては少女ヴィクトリカの存在自体も謎になっていて、終盤ではその謎を解いていく流れになっています。アニメではちょっと強引な感じがしないでもないのですが、尺が足りなかったのか。

キャラとしては、ヴィクトリカがとにかくカワイイ、ということでそこで完結してもいいような気もします。警部が異様な髪型なのも面白いですが、砂糖で髪を固めてハエがたかっているシーンのハエ感はなかなかよかったです。

 

サクラダリセット

今日はアニメで「サクラダリセット」。2017年の春・夏アニメです。原作はラノベで、作者は河野裕さん。

Re:ゼロから始める異世界生活」や「STEINS;GATE」と同じく、いわゆるタイムワープ、リセット系です。このアニメでは、リセットすると前回セーブした所まで戻れることになっていて、限界は3日。それ以上は遡れません。

舞台は咲良田(サクラダ)という、能力者が住む街。主人公は浅井ケイ。高1の男子。ヒロインは春埼(ハルキ)美空。リセットの能力を持っているのはハルキですが、リセットするとそれ以降にあったことは全て忘れてしまうので、殆ど意味がありません。そこで出番なのが記憶保持という能力を持つケイです。ケイはリセットしてもリセットする前に起こったことを覚えているわけです。

いろんな謎解きが出て来て、片っ端からケイが解くというシナリオになっていますが、アニメを観た感じではちょっと強引な感じがしました。強引系なアニメは他にも結構ありますが、難しいネタが多いので、そのせいかもしれません。

個人的には最後の説得のところ、あれで本当に納得できるのか、ちょっと疑問を感じています。人間は、他の人が特別な能力を持っていることに対して、かなりの恐怖を感じると思うのです。それを許せるかどうかということです。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン

今日の本は「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」。近未来SF。

物語は1948年から始まる。第二次世界大戦は日独伊が連合国を破り、アメリカ合衆国は日本合衆国となった、という設定。メカが出てくる。個人的にはガンダムよりはボトムズに近いイメージか。主人公は、石村紅功、べにこと読む。通称はベン。男だ。仲間となって暴れまわるのは特高の槻野昭子。

作者の Peter Tieryas さんは韓国生まれの米国人。そのキャリアで日本メインのストーリーが書けるのか、もちろん作家だから妄想やfakeで日本を描くのは得意なのかもしれないが、それが実在する日本と乖離していては、日本人から見ると違和感があるだろう。そこが面白いのかもしれないが、作者曰く、

日本文化にはつねに大きな影響を受けてきた。宮崎駿小島秀夫三島由紀夫木城ゆきと押井守庵野秀明深作欣二、小玉理恵子、坂口博信黒澤明大友克洋などのアーティスト/作家/デザイナーの作品は、少年期の私にとって敬愛の対象だった。
(下、p.274)

何か偏り感が半端ないのだが、その方向での知識は結構鋭い。ただ、その上で考えるとやたら出てくる天皇陛下へのイメージはどうも違和感がある。

「神たる天皇陛下にご奉仕しているのだ。狂気に近いくらいでなくては反逆罪にあたる」
(上、p.56)

大戦前の日本人であっても、この考え方は無いだろうと思う。そもそも狂人は自分が狂っているとは自覚していない。戦前の日本が天皇陛下に対して持っていた感覚は狂気ではないはずだ。

この作品の一つのクライマックスは、ベンが命を賭けてゲームをする場面。ベンと昭子はカタリナ島に行きたい。その交渉のため、裏世界のボス的存在のモスキートと話をすると、ゲームで勝てば行かせてやるという。

お前が生き残ったらカタリナ島まで無料で乗せてやる。死んだらゲームオーバーだ
(下、p.82)

このゲームにはイーグルキラーという最強プレイヤーがいる。誰も勝てない絶対強者、それに勝たないと死ぬ。トーナメントは最初、このイーグルキラーと2人チームを組んでプレイすることになる。まるでチームプレイになっていないが、イーグルキラーが一方的に得点するので勝ち進んで行く。そして決勝戦はベンとイーグルキラーの一騎打ちになる。

勝戦で圧倒的な得点差で負けているベンはものすごい勝ち方をする。負けたイーグルキラーが、

チートだ! 冒涜だ!
(下、p.127)

と叫ぶのも無理はないような滅茶勝ちだ。面白過ぎるので伏せておく。しかしゲームプログラマーはそういうことをしたがるものなのだ。昔、私がとあるゲームを移植したときも、裏コマンドとして直前の操作をやり直せる隠し機能を実装した。ま、デバグ用だ。実行方法は本人も忘れたから知りたければコードを読むしかない。

この話で面白いキャラだと思ったのが久地樂。クジラと読むのかな。巨体っぽいイメージだが多分その通りで、いつも何か油っこいものを食っている。和訳では関西弁で話すのでわかりやすい。久地樂の母親は伝説のパイロットで、その技を受け継いでいる凄腕の操縦者だ。

最後に、今回のいいと思ったセリフを紹介。

制度というものは、うまく使うか、さもなければ使われるか、どちらかだ
(下、p.182)


ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上
ピーター トライアス 著
中原 尚哉 翻訳
ハヤカワ文庫SF
ISBN: 978-4150120986

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下
ISBN: 978-4150120993

叛逆性ミリオンアーサー

今日はアニメで「叛逆性ミリオンアーサー」。2018年の秋アニメで第一期、2019年の春アニメで第二期が放送されました。スクエニのオンラインゲームのアニメ化です。

ストーリーは過去にタイムワープして100万本のエクスカリバーを破壊するというシナリオなのですが、このアニメ、最初はほんわか系のファンタジーバトルかと思っていたら、どんどんチャラくなっていって、途中のパロディ場面は食戟とか出てくるし、昨日紹介したアニメとは真逆の展開ですね。

あまり深く考えても仕方ないですが、団長のボケっぽりが凄い。とりあえず見てて馬鹿馬鹿しいんですが、最後まで見てしまいました(笑)。