Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

SHUFFLE!

今日はアニメで「SHUFFLE!」。2005年の夏、秋アニメです。原作は同名の18禁ゲーム

最初の方の回を観ていた時は、よくあるハーレム系、パンチラ系のラブコメと思っていたのですが、どんどんキャラが壊れていって雰囲気が怪しく暗くなっていって、ドロドロ感が半端ないので超驚きました。

ストーリーは主人公の男子高校生、土見 稟が神族と魔族からやってきた少女の結婚相手の候補になるというあり得ない設定(笑)。ファンタジーかというとそうでもない。

前半の回で意識を確かに持って我慢して観ることができたら、最後までイケると思います。

 

キノの旅XVI the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第16巻です。

第一話「死人達の国」は、ゾンビを殲滅する話なのですが、突入した精鋭4人の中の兵士がおかしくなってしまうというのが微妙にホラーです。ま、それはそうとして、エルメスの想像した真相の中で気になったのは、

満ち足りた精神世界で、飢えることも老いることもなく、天国にいるような感動を味わえる。
(p.67)

という状況に対して、それでどうなるかというと、

世界中の人間は、本当に幸せな生物に進化を遂げる。
(p.68)

と考えているのですが、ちょっと違和感がありますね。それでいいのかな。飢えるとか老いるというのは確かに面白いことではないと思いますが、それが続いてしまうと感動は消えてしまうのではないか。

第二話~第四話あたりの前半は割とヒドい話【謎】が多いのですが、後半のエピローグ「恋文の国・a」からフォトの日々「見えない真実」と、「残されたもの」は急にシリアス系、悲しい話です。

キノが出てくる話は人間がどんどん死体になるのに何も悲しくないのに対して、フォトの話は、フォトがただ正直に行動しているだけで周囲の人が悲しい目にあってしまうのが不思議です。

悲しい記憶でも、残さなければならないんです!
(p.234)

写真家としては素晴らしい志ですと。しかし、被写体を選択しすぎると、正しい姿が残せなくなることもあります。


キノの旅XVI the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048869805

キノの旅XV the Beautiful World

今日は「キノの旅」、第15巻です。順不同(笑)

この巻は個人的に気に入った話が多いです。といいつつ、いきなり第四話「フォトの日々」。フォトの話です。前回出て来たときは行商人が毒草で全滅して写真家になった話でしたが、今回は写真家になった顛末が細かく描かれています。前回のあらすじも出てくるので、この回だけでいろいろ分かるようになっています。

モトラドのソウは世渡りがかなり上手な感じなのですが、フォトが純真というか、

真面目に人を信じ、人を疑わず、人を騙さず、人を傷つけず、全ての隣人を愛していれば、素敵な人生になると信じていたのだ。
(p.140)

てな感じで、バカ正直で誰でも信用してしまうので、対比が面白いです。これに対してキノの場合は、

「その場にいない人を悪く言うほど、簡単なことはないねぇ」
「まったくだ、誰にだってできる」
(p.179)

こんな感じです。師匠に仕込まれた成果なのです。しかし、多分フォトにはできません。脳内に禁止ロジックが組み込まれているのです。

第六話「犯人のいる国」では、キノは白煙の中、視界ゼロの状況で戦います。

「戦い方を教えてくれた人が、よく練習させてくれたんだよ。灯りのない室内とか、真っ暗闇で戦う方法、見えないのを無理に見ようとせずに、目をつぶってしまうやり方」
(p.244)

隆慶一郎さんの「影武者徳川家康」だったと思いますが、柳生兵庫介が夜、目を閉じた状態で待ち伏せするシーンがあります。相手が攻めてくるところで目を閉じるのは、なかなかできることではないそうです。

関係ありませんが、私は深夜に家の中を移動するとき、大抵、灯りを点けません。真っ暗なまま移動する練習です。階段の所で事件が起きることもあります。

エピローグの「戦って死ぬということ・a」ですが、最後に男が絶叫するシーン。昔のことを覚えているかと問われて覚えていないことに気付いて叫ぶのですが、絶叫する必要はあったのでしょうか。私なら覚えてなくても「はてな?」と首を傾げるだけのような気がします。


キノの旅XV the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
ISBN: 978-4048709620

ソウナンですか?

今日はアニメで「ソウナンですか?」。2019年の夏アニメです。原作はコミックで、原作者が岡本健太郎さん、マンガはさがら梨々さんです。

女子校生4人(原作では6人、うち男子1人)が事故で遭難して無人島に漂流する、という現実世界ではあり得ないようなストーリーですが、その中の鬼島ほまれというキャラがサバイバルのスキルがプロ級という、さらにあり得ない設定(笑)。この人がなかなか面白いのです。

細かいツッコミをいうと、あの環境だとかなり虫がいそうな気がするので、虫よけを何とかしないとヤバいかなと。あと、生食が割とあるのは気になりますね。寄生虫とか怖いので。それどころではない状況だというのは分かります。

あと、下着の洗濯とかどうしてるのだろうとか。干してるシーンは割とあるのですが、石鹸とか作れるのかな。

 

R.O.D -THE TV

今日はアニメで「R.O.D -THE TV」。2003年9月から2004年3月まで放送されましたが、私がTVで見たのは2008年の TOKYO MX の再放送だと思います。

R.O.D. は Read Or Die。本好きの私としてはたまらない環境がわんさか出てきます。紙使いという謎のスキルが面白いです。アニメでは、一体どこに持っていたのか分からないような大量の紙が出てくるアクションシーンが見せ場。世間がペーパーレス化・電子書籍化する流れになっていて、紙の書籍には厳しい状況ではありますが。

ちょっとエロい感じのオープニングは、なかなか好みです。

 

キノの旅XVII the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第17巻。もう巻数の順は錯乱状態ですが気にしない。

この巻は、新聞に週刊連載された話が収録されているということで、ショートストーリーが多く、スキマ時間に読み易かったです。

第二話「自然破壊の国」。自然破壊し過ぎたことに気付いて、自然を取り戻そうと努力している国なのですが、

まず、家は全部壊して、石を捨てる! これだけで国の中はサッパリするはずだ。石垣を剥がして、国中に大地を出す。土を見ずして、人間らしい生活などできないからな。そして、木や草を植える!
(p.37)

30年計画というのですが、国の外は自然で一杯なんだから、全員国の外に引っ越して国境を引き直せば1年でできそうな気がしてきました。

第七話「楽園の話」はシショーがメインの話。谷間の中にある楽園から出られなくなります。外の世界には出られないのですが、閉じた世界の中で衣食住は不自由ない、ということで楽園。最後は全員そこから脱出するのですが、何となくモッタイナイような気もします。とはいっても人口増加したら破綻してしまうので、いつかは何とかしないといけないのでしょう。

第九話「料理の国」は、鶏肉のキノ焼きが出てきます。この話はアニメにもなっていますが、あの味は再現できていないような気がしました。

「凄かった」「恐ろしかった」「鬼だ」「壮絶だった」「寝込んだ」「別の世界が見えた」
(p.200)

世界線を移動する作用のある料理というのが凄いです。「別の世界が見える料理」は食戟のテーマにして欲しいですね。

第十一話「鉄道の国」は長期戦略で復讐しようという話なんですが、個人的にはこの話は納得できません。しかし今の世界に似ているような気はします。

エピローグ「渡す国・a」は、シズ様がメイン。移住できそうな国が見つかるのですが、半年のテスト期間住んでみて、

その間に違法行為を働かないこと
(p.337)

という条件がキツかったという話。走れメロスのようで、なかなかスリリングです。


キノの旅XVII the Beautiful World
電撃文庫
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
ISBN: 978-4048660211

キノの旅〈12〉the Beautiful World

今日は「キノの旅」の第12巻。順序がぐちゃぐちゃですね。すみません。

第三話「求める国」は、戦略的に他国を乗っ取る話です。

やれ〝平和は何よりも尊い〟とか、〝戦争は絶対悪〟とか、〝軍隊は人殺し連中〟とか、〝軍備に使う金で貧しい人を助けろ〟とか、〝武器を持たずに話し合いで解決しよう〟とか、耳障りのいい言葉をぽんぽんと並べ立てて――。純朴な人達はすっかり乗せられて、〝やっぱり戦争はダメだよね。軍隊をなくそうよ〟とか言い出すかもしれない。
(p.68)

敵国を武装解除する、あるいは軍事力を弱体化させる、というのが侵略行動の基本ですから、情報操作は当然の流れでしょう。敵国民をそのように洗脳すれば、領土を占領しても武力で抵抗してこないので、永久に侵略したまま資源を乗っ取ることができます。

第四話「日時計の国」。超破壊兵器の話ですが、最大射程で撃ったら惑星を一周して撃ったところに戻ってきたという。

球体の惑星のどこへでも砲弾を送り込める性能があるんだから、最大射程ってことは……」
「撃った場所へ……、一周して戻ってきた?」
「正解」
(p.103)

球体なら、一周ではなく半周分の射程距離があれば球面上のどこへでも砲弾を送り込めると思いますが。

第五話「努力をする国」。惑星温暖化という、どこかで聞いたような話が。この国の人達は、

温暖化は氷河を溶かす
(p.118)

という話を聞いて、氷河を砕いたら、

惑星はどんどんどんどん暖かくなるのです!
(p.119)

というのですが、理論がよく分かりません。温暖化は氷河を溶かすという事実から、どう導けば氷河を砕いたら惑星が温かくなる、という話が出てくるのだろう?

第八話「賭の話」は、

「次に通りかかるのが自転車だったら告白する! 自動車だったら、しない!」
(p.155)

私はここでオチが見えてしまったので面白かったです。

さて、「キノの旅」は、キノとエルメスの話、師匠と相棒の話、シズと陸の話、フォトとソウの話、この4パターンが主に出てくる短編形式になっていますが、第十話「雲の前で」は、フォトが奴隷だった頃のストーリーです。アニメ化されています。なぜ奴隷という立場から開放されたのか、この話で分かるようになっています。

「どうやったら、私は死ねるの」
「簡単さ! 生きればいい。生き物は生きれば、いつかは死ぬ」
(p.227)

確かに、生きてないものは死ねません。生きるためにはどうすればいいのか、興味がわいてきますね。ちなみに、エルメスとソウはモトラド、陸は犬ですが、このシリーズでは会話できることになっています。


キノの旅〈12〉the Beautiful World
時雨沢 恵一 著
黒星 紅白 イラスト
電撃文庫
INBN: 978-4048672634