Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

プレジデントファミリー 2020年秋号

今日は小学生の子供がいる親向けの教育系雑誌、プレジデントファミリー、2020年[秋]号。

特集は「東大生235人のマル秘テクニック 勉強の遅れを取り戻せ」です。一年に一度程度の東大生アンケート特集。面白い回答がたくさんあります。

例えば、学習環境について工夫したことは? (p.10) という問に対しては、

座るだけでなく立ちながらでも勉強できるスペースを作った (大学院男)

茂木さんも言ってたようですが、運動しながら勉強すると脳が活性化するという説があります。

見つからないとストレスになるので、消しゴムなど文房具を必要以上に用意した (理学部3年男)

確かに、あるはずの所にないと落ち着きませんよね。私はシャーペンとか付箋は数に頼っています。

大きい机を使った。多少散らかってもスペースを確保できて便利 (文三1年男)

大きいとたくさん散らかせる、のかと思いました。妙に論理的だけど何か違う感があるのが面白い。

遮光カーテンを閉めて常に電気をつけ、辺りの時間がわからないようにした (工学部3年男)

私は最近ソレですけど、受験生の時はそこまではしませんでしたね。

ずっと同じ体勢だと疲れるので、椅子を複数個置いて場所を変えた (文二1年男)

姿勢を変えるのではダメなのかな。謎です。

ところで東大生というと一年中勉強しているとか、勉強大好きな人ばかりと思っている人がいるかもしれませんが、実際はそうでもなさそうで、「勉強する気にならないとき、どうしていましたか?」という質問に対して、

「寝た」という回答が多かった。また、「諦めてやる気が出るまで待つ」「危機感が芽生えるまで待った」という〝流れに任せる派〟と「無理やりでもやっていると、やる気があとからついてくる」という〝とりあえず机に向かう派〟が伯仲。
(p.12)

確か伊沢さんも、やりたくない時はやらない、みたいなことを書いてました。いつまでもやる気が出なかったらどうするのでしょう。

他には東大生が読んだ本2020、というコーナー。案外ふつうの本が多い中、ランキング3位に「数の悪魔」が入っていました。この本、こちらのブログでは出てきませんが、Phinloda の裏の裏ページで 2014年に紹介しています。

 

プレジデントFamily(ファミリー)2020年10月号(2020年秋号:勉強の遅れを取り戻せ)
プレジデント社 著
プレジデントFamily編集部 編集

GUNSLINGER GIRL

今日はアニメで「GUNSLINGER GIRL」。原作はマンガで、作者は相田裕さん。

ジャンルはガンアクション。銃を使うのは少女で、義体と呼ばれています。要するに改造人間です。義体は担当官と常にペア(フラテッロ)で行動します。親子ほどの年齢差がある男女の精神的なやりとりが見所になっています。

舞台はイタリアで、マフィアやテロリストを相手に少女達が諜報・暗殺活動を行うわけです。善悪という意識を持てない少女を担当官が指導するのですが、最初から殺しのテクニックを教えているので「殺してはいけない」という倫理観がなく、いろんなシーンで矛盾した指示に葛藤することになります。

途中にエピソードとして出てくる「パスタの国の王子様」という小話はちょっと気になります。

 

理系の文章術

今日の本は更科功さんの「理系の文章術」。

この本の特徴は、読み易い、分かりやすい文章で書かれているということ。

文章術系の本は世にたくさんあるのだが、何が言いたいのかよく分からないような本もある。そんな本を読んでもいい文章が書けるような気がしない。しかし、この本は何か書けるような気がしてくる。

大江健三郎さんの文章が分かりにくい点についての評が面白い。

大江の文章がわかりにくいのは、大江が文章を書くのが下手だからではない。文章で表現するのが難しいことを、文章で表現しようとしているからだろう。
(p.27)

個人的には果たしてそうなかと思えたりもするのだが…、そこは今回は拘らないことにする。

どう書けば分かりやすい文章になるかは、具体的に指摘されているので、理解しやすい。例えば、

付加の接続表現の中で、最初に注意すべきものは「そして」だ。なぜなら、「そして」は典型的な付加の接続表現であるにもかかわらず、順接の接続表現と間違えやすいからだ。
(p.50)

のように理由コミで解説してくれるのである。そのあたりが理系っぽい。

他にも、音がきれいとか、表記が統一されているとか、具体的なポイントが出てくるから活用しやすい。理系というタイトル通り、ロジカルな文章の書き方についても詳しく書かれているので、一度読んでおいて損はないと思う。


理系の文章術 今日から役立つ科学ライティング入門
更科 功 著
ブルーバックス
ISBN: 978-4065195628

狼と香辛料

今日はアニメで「狼と香辛料」。2008年の冬アニメです。原作者は支倉凍砂さん。原作は未読ですが、Amazon レビューでは好評のようです。

アニメの公式サイトを見ようとしたら Adobe Flash のバージョンが古いと怒られました。当時は Flash Player が開発終了になるとは想定してなかったでしょう。

タイトルから中身が想像できないのでキャッチ段階で損をしているような気がします。ジャンルはファンタジー、民話といったところで、Wikipedia には舞台が「中世ヨーロッパを思わせる架空世界」となっています。狼というのは豊穣の神様です。名前はホロ。動物神が豊作を司るというのは日本的な発想でしょう。日本だと狐といったところか。

ホロと一緒に旅をするのがクラフト・ロレンス。商人なので町から町へ商品を仕入れて売りさばきます。香辛料というのはロレンスのことだそうです。実際、香辛料を扱う回もあります。

このロレンスが賢いようで結構ボロを出します。中途半端に賢いと読み易い、というのはオーバーロードで出てきたセリフですが、思慮がいまいち浅いところがあって、そこから穴が開くので大儲けしようとして騙されます。ホロは騙されないようにヒントを与えるのですが、微妙。そもそも個人の商人が大儲けできるわけがないです。リアルな社会なら騙す必要もなく、殺されておしまいでしょう。良心的な相手だと単に滅茶苦茶値切る程度で済みますが。商売のピンチをうまく切り抜けていくというのが見所になっています。

ホロがかわいい感じで描かれていて、喋り方も独特なので世界に入りやすいです。キャラ的に興味を持ったのはクロエ。ロレンスにホロを引き渡して手を組もうと持ち掛けるのですが、

約束を守ることこそ、良き商人の第一歩だ。
(第六幕)

とアッサリ拒絶されてしまいます。商人は利益を優先するという前提があり、そのために裏切っても構わないのか、約束を優先するのか、そこで二手に分かれるようです。

現実世界で勝つのは裏切る商人のような気はしますが。

天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬の銀河

今日は天冥の標、Ⅴ。「羊と猿と百掬の銀河」。何でこのタイトルなのかサッパリ分かりませんが、気にしない。

この巻はややこしいです。2つのシナリオが並行しています。一つは貧乏農夫タックと娘ザリーカの話。もう一つはノルルスカインの話。ストーリーの感想とか書くと発狂しそうなのでヤメます。基本的にはアクションかな。

ん、ノルルスカインって何だっけ?

というのが説明困難です。というのは流石に無責任なのでサクっと紹介しておくと、サンゴ虫から進化した知性体です。なにそれ。ていうかⅠに出てきた時点では宇宙船をコントロールしているAIっぽい感じでしたが、実はコレ、

ノルルスカインは勝手にできた。
(p.33)

自然発生した人工知能【謎】なのです。だから AIというよりNI (natural intelligence)ですね。ノルルスカインは自分が生れたときのことを覚えていません。

物心ついていないときのことは、なにしろ物心ついていないのだから覚えていない。
(p.32)

ま、そりゃそうですね。自然発生して進化した知能ということで、

ノルルスカインが「お?」と思ってから五億三九九〇万年がすぎたころ、サンゴ虫たちが我ありと言い始めた。
(p.44)

スケールがやたらデカい。サンゴがどうやってコミュニケーションする方法を実現するとか、なかなか興味深い仕組みになっています。情報処理に興味がある方は読んでみてください。

さて、ザリーカが町に行ったときに不愉快(誹謗中傷的)なことを言われるのですが、タックはそのことを聞いて、気にするなと言います。

ああいう手合いは自分の頭で考えることができなくて、人から吹き込まれた嘘を真に受けてるんだ。
(p.145)

ネットにもたくさんいますね、そういう手合い。

この巻で気になるキャラは、タックの農場で世話になるアニー・ロングイヤーという女性。エルフではありません。オーストラリア出身の地球人です。研究者です。行動が研究者っぽくてズレている所が面白いです。


天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬の銀河
小川 一水 著
ハヤカワ文庫JA
ISBN: 978-4150310509

天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち

今日は天冥の標、Ⅳ。「機械じかけの子息たち」。

この巻は《恋人たち》(ラバーズ)がメインの物語です。テーマはエロス。ということで最初から最後までエロです。アニメ化したら多分大変なことになりります。ハイブリッドハート程度で済めばいいのですが、多分無理。

主人公はキリアン。やりまくります。相手をするのはアウローラとゲルトルッドの姉妹。姉妹といっても《恋人たち》ですからアンドロイドなんですが。そして、ちょうどヤッてる最中に乱入してくるのが聖少女警察、VP(バージンポリス)という名前から既にスゴいキャラ達で、

蛋白機械のみだらな娼婦たちを取り締まり、かわいそうな被害者の人を取り戻すのがお仕事
(p.138)

なのです。蛋白機械というのは《恋人たち》のことですね。これが、武器を装甲しつつ、

ボディには白とピンクの薄いレオタードしか着用せず、胸から太腿までの輪郭をあらわにしている。
(p.124)

というコスプレで攻めてくるのです。一体何がしたいのか。

濡れ場とバトルで錯乱している状況が延々と続く感じですが、後半は「混爾」を求めるという謎の流れになっていきます。ちなみに「混爾」とは究極のアレのことで、海原雄山だと至高ですか。アレじゃ分からないか、要するにナニのことです。

キリアンとアウローラはその過程で「交道」という誰も達成しなかった境地に至ります。具体的に説明すると、言葉だけでお互い手も触れずにイッてしまうという恐ろしい技です。そういえば手を使わずにイクというのは、吾妻ひでお大先生でしたっけ。SFの世界は奥が深いというか次元が違います。

最後にいつも通り、気に入った一言を紹介しようと思ったのですが、今回はヤバそうなのでやめておきます(笑)。


天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち
小川 一水 著
ハヤカワ文庫JA
ISBN: 978-4150310332

八男って、それはないでしょう!

今日はアニメで「八男って、それはないでしょう!」。原作者は Y.A さん。2020年の春アニメです。

いわゆる転生系ファンタジー。主人公の一宮信吾は、ある日唐突に異世界の貴族の八男として転生してしまいます。何で転生したのかさっぱり分かりません。転生前はサラリーマンでしたが、転生時に5歳になっています。そこから、魔法の素質を伸ばして出世していくストーリーです。

出世系の話でよくある妬みネタもありますが、どちらかというと善人が多くて、あまり失敗もせず進んでいく、ライトな感じのアニメです。貧乏貴族の長男がどんどん壊れて行くのはちょっと悲惨でしたが、リアルといえばリアルなのかもしれません。

生まれつき魔力の最大容量が決まっている、という設定はファンタジー系にしては珍しいかもしれません。レベルアップしたらMAX値も増えるというのがゲームでは多いような気がします。

ヘルムート王国の王様が何か食えない感じでいい雰囲気ですね。敵に回したら勝てる気がしないタイプ。