Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

雑記

今日は本当に何もなしです(笑)。まあでも何か読んでるのないかな、と思って考えてみると、ありました。ストーリー・ジーニアス。

小説の書き方的な本です。どのように物語を組み立てていくか、主人公をイメージすることで実際に練習するような形式になっています。

 

ストーリー・ジーニアスー脳を刺激し、心に響かせる物語の創り方
リサ・クロン 著
府川由美恵 翻訳
フィルムアート社
ISBN: 978-4845916405

雑記 (頭のいい人の考え方)

今日も本は読んでないです。すみません。ということで、この本。

これは新書だけど、一般人が読む本ではなく、受験生向けの本ですね、現代文ができない人向け。タイトルは「頭のいい人の考え方」となっていますが、内容とは全然関係ないです。当たり前の考え方しか書いてありません。ただ、その当たり前の考え方すらできないのが最近の高校生なんでしょう。

現代文を読むテクニックといいますが、そもそも、日本語で書いてある文章を正しく読むことができれば、テクニックなどなくても問題が解けるはずなんですけどね。

現代文に自信のある受験生は、選択肢を見ないで解答するような読み方をすればいいと思います。

入試現代文で身につく論理力 頭のいい人の考え方
出口 汪 著
青春新書インテリジェンス
ISBN: 978-4413044752

 

容疑者Xの献身

ミステリーである。東野圭吾さんはこの作品で第134回の直木賞を受賞している。

刑事コロンボ的に、物語が始まったらすぐに殺人の犯行現場になる。つまり犯人は最初から分かっていて、それを探偵ではなく物理の准教授が追い込んでいく、というストーリーでいいのかな。いいのかなって何なの、というのは最後まで読んでみれば分かるから書かないけど。

その犯人は花岡靖子。と、中学生の娘の美里も共犯か。犯行の流れは、まず美里が被害者の富樫を鈍器で殴った。富樫は倒れたがまだ生きていて、反撃して美里を押さえ付けて殴った。その後ろから靖子が富樫の首をコタツのコードで絞めて殺した。という感じ。これにアパートの隣人である数学教師の石神が参加して、アリバイ工作を行う。数学教師だけあって、論理的に隙がない。

この石神と刑事の草薙が同じ大学の出身で、草薙が事件に行き詰ると相談相手になっている湯川がその大学の准教授。専攻は物理である。学生の頃の石神は、

どんな優秀な教授でも、いつも正しいことを語るわけではないということを知っていた。
(p.106)

とか言ってるから、かなりヒネていたのだろう。石神と湯川は学生時代にエルデシュ信者という共通項で意気投合する。ただ、石神が論理で最初から最後までやろうとするのに比べると、湯川は実験して検証したがる。この話では、被害者の死体発見現場の近くに一斗缶があって、そこに被害者の衣類の燃え残りが発見されている。これに不審を感じた湯川は、実際に実験して燃やしてみる。

数学者と違って、我々は実験しないと気が済まない性格なんだ
(p.297)

その結果は、

有毒ガスを発しながら、じつによく燃えた。
(p.297)

燃えるのにかかった時間が5分で、犯人はなぜその5分を待てなかったのかと考える。しかし、この時点で残るのは違和感だけで答は出ない。

このミステリーを味付けしているのは、まず、ホームレス。石神の通勤コースはホームレスの住居【謎】の横を通るルートになっていた。ホームレスの生活を見て、

「いつもと同じ光景だ」石神はいった。「この一か月間、何も変わっちゃいない。彼等は時計のように正確に生きている」
「人間は時計から解放されるとかえってそうなる」
(p.122)

時間に縛られない方が規則正しく生活できるという発想はなかった。もちろんこのセリフは湯川のものだ。

もう一つ色付けするのが、石井の高校の生徒だ。

先生さあ、受験に数学のない大学だってあるんだし、そういうところを受ける者は、もう数学の成績なんてどうだっていいんじゃないの?」
(p.153)

この質問は知恵袋あるあるかな、FAQ。受験に必要ない科目はやる必要がないという結論は生徒が簡単に出せる結論の一つなのだ。石神は理屈を付けてこれに反論するが、それと同時に、疑問を持つことこそが重要だとも考えている。

なぜこんな勉強をするのか、という疑問を持つのは当然のことだ。その疑問が解消されるところから、学問に取り組む目的が生まれる。
(p.268)

でも解消されるとは限らないよね。解消されるにしても、もしかしたらコンピューターを使わないと解けない難問かもしれないし、NP完全で解くのに途方もない時間がかかるかもしれない。この話で私が分からなかったのは、石神がなぜ花岡母娘に何も要求せず一方的な協力を惜しまないのかだ。タイトルは献身となっているが、そこが不可解だった。理由付けはちゃんとあって、ストーリーでは、そのココロは、この母娘は数学と同じように崇高なもので傷つけてはならないという結論になっていて、

崇高なるものには、関われるだけでも幸せなのだ。
(p.386)

というのだが、個人的にはちょっと納得できない。もちろん、その裏には完璧なアリバイを作るという問題に挑戦する数学者の本能があるのだと思うが、どうしても違和感が残る。


容疑者Xの献身
東野 圭吾 著
文春文庫
ISBN: 978-4167110123

雑記

今日はもう朝から忙しくてとても本など読んでいる暇はないということで、どんな本を読んでいたかというと(笑)、こういうの。

ちょっと Compass 使うことになりそうなので確認みたいな。

 

Sass&Compass徹底入門
CSSのベストプラクティスを効率よく実現するために

Wynn Netherland 著
Nathan Weizenbaum 著
Chris Eppstein 著
Brandon Mathis 著
石本 光司 (株式会社サイバーエージェント) 監修
株式会社トップスタジオ 翻訳
翔泳社
ISBN: 978-4798132440

君の彼方、見えない星

SF。宇宙船で事故発生。宇宙飛行士は2名、女性のカリスと男性のマックスは恋人同士だが、宇宙空間に放り出されて自由落下中【どこに】。残った酸素は90分で切れる。状況は最悪だ。

SFと書いたが中身はラブストーリーなのだ。ヒューヒュー、さっさと結婚してしまえばいいと思うかもしれないが、

現在の婚姻規則では、そのてのことを考えるのは三十五歳以上から、と制限されている。
(p.48)

若いうちは結婚できないとうい時代背景がある。そのベースにあるのが個人主義だ。このSFでの個人主義とは、

国家意識は持たず、宗教的対立もなく、成熟して安定するまで深刻な人間関係は、一時的なものでさえ、いっさいつくらないというのが原則だ。
(p.47)

即ち、国家や宗教という集団を捨てるという意味での個人なのである。なぜそんな極端なルールが支持された世界になっているのかというと、茶色い戦争ありました。

ビルは消え、町は消え、点々と小さな、大きな、黒い地面のえぐれがつづく。
(p.373)

えぐれた所に灰が積もっている。街が核戦争で消えてしまった。こんなことを続けていたら地球が絶滅してしまう。そこで、核戦争を回避するために原因となる条件を根本的に取り除くことを考えた、すなわち国や宗教そのものを無効にしてしまおうというのだ。直接的なアイデアだが、リアルには実現しそうな気がしない。そのあたりがSFらしくていい。それに、

「規則といっても――」カリスのささやきは風に流れた。「すべてが正しいとはがきらないわ」
(p.155)

このあたりに作者のレジスタンスを感じる。反抗心は持ちつつも世界という社会に従順なのはおかしくないのか、結局個人主義ではないのでは、というあたりのジレンマが面白い。

「規則に従うことは、わたしたちの体に染みついているの。でもそれで、いつもしあわせとはかぎらないわ」
(p.228)

これはマックスの叔母の言葉なのだが、このような抵抗感がSFだけにとどまることなく、現代社会に何かを警鐘しようとしているのだろう。問題があることは分かっている、しかし諦めている。そのような世界の中で、カリスもマックスもかなり挑戦的なキャラクターで、最後のオチがまた哲学的で、

「死後の生を信じる?」
「自分がほかの人の心に残したものを死後の生という、と何かで読んだことがある」
(p.203)

という途中のセリフがエンディングに繋がっているような気がした。ラブロマンスのようで、哲学的で、でもSFという何かヘンな話だが、ちなみにエンディングがちょっと反則(笑)だと個人的には思った。まあでもこれが今風なのかもしれないな。


君の彼方、見えない星
ケイティ カーン 著
赤尾 秀子 翻訳
六七質 イラスト
ハヤカワ文庫SF
ISBN: 978-4150121532

たぶんねこ

今日は「しゃばけ」シリーズの何作目だっけ。「たぶんねこ」を読んだ。

6本の作品が入っているが、最後の「終」はエピローグみたいなので実質5本。タイトルが面白い。文庫本のイラストを見た限りでは、どう見ても虎だし。

2本目の「こいさがし」はお見合いがややこしくなる話。

「そんな簡単にいくかねえ。何しろ縁談は、人と人がするもんだからさ」
(p.97)

何か分かる。縁談というのはそう簡単に一直線にゴールに向かうような性質のものではないのだ。
この話に出てくる「於こん」さんは十四歳。十五でねえやが嫁に行くような感じで嫁入りの修行中だが、

江戸では十三にもなれば、嫁にいけるのだ。十五と聞けば、もう娘盛りと言われる。
(p.87)

これが何をやらせてもヘタというのが面白いが、「於こん」という名前がなかなか素晴らしい。何が素晴らしいかは読めば分かる。

4本目の「みどりのたま」は、記憶喪失の人…といっても皆さんご存知のあの人とすぐ分かるあの人が、だんだん記憶を取り戻して行く話。途中に出てくるスリの二人が馬鹿コンビで、最初にコテンパンにやられているのに何かとかかわりたがる。

5本目の作品がタイトルに出てきた「たぶんねこ」。この話の主人公は月丸。実は幽霊である。幽霊なのに神の庭に住んでいて、住んでいたのにわざわざ江戸に出てきたがる。何が心残りで成仏しないのかなかなか分からない。とりあえず猫に化けて吉原に住みたいというのだ。猫なら夜だけ現れても不審には見えないだろうというのは説得力があるが、よくそんなこと思いつくなぁ。この幽霊が化けたのが、

鳴家が指さした先に、多分猫と呼ばれたものが現れた
(p.290)

幽霊だから化け猫だね。それはそれで怖い。

 

たぶんねこ
畠中 恵 著
新潮文庫
ISBN: 978-4101461335

 

雑記

今日こそ本を読んでない(笑)ので、書くことがない。ということで書評が消えたという本って何なの、というのがコレ。

前半あたりをちょろちょろと書いていたのだが、宇宙から消滅。再度挑戦中なのだ。


脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!
ベネディクト・キャリー 著
花塚 恵 翻訳
ISBN: 978-4478021835