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Phinlodaのいつか読んだ本

実際に読んでみた本の寸評・奇評(笑)

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド

昨年大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」の公式ビジュアルガイドです。

かなり小さいコマが多いですが、映画のシーンが多数収録されています。三葉の通っていた高校の正式名称が出ているシーンがなかったっけ、と思って確認したかったのですが、見つかりませんでした。映画でも出てこないかもしれませんけど。ちなみに瀧くんの高校は東京都立神宮高校学校ですね。

コラム「〈とりかえばや〉のサブテキスト」に、とりかえばや物語が出てくるのはいいとして「ぼくは麻理のなか」が出てくるのは驚いたな。ちなみに男性が片思いの女性の体に入ってしまうという話で、本当にそんなことがあったら実際にやりそうなことはだいたいやってます。変態マンガです(笑)。もちろん「君の名は。」にはそんなシーンはありません。私は「とりかえばや物語」は古文で読んだのですが途中で挫折…いや、読んでいる途中です。

他には声優さんの対談記事や、RADWIMPS さんのインタビュー記事、新海誠監督のインタビューなど、いわゆるこの種の公式ガイドブックに出ていそうなネタはだいたい出ています。

ただ、ある見方をすれば、あのラストはスタートに過ぎなくて、その先がすべて約束されているわけじゃない、(略)
(p.60)

監督さんのインタビューに出てくる内容ですが、それは新たなる戦いの始まりに過ぎない的なモチーフなんですよね。

こういう本はアニオタじゃないとあまり興味ないような内容で、ストーリーとか知りたいのなら文庫本を買った方がいいと思いますが、この本で役に立ちそうなのは62ページから65ページの「東京ロケーションMAP」かな。例えば代々木駅なら「新宿から千葉方面に向かう総武線のホーム」(p.64)というレベルで説明が出ています。私は東京は長いし新宿は拠点なので映画の光景も知っている所が多いのですが、東京に行ったことがなくて聖地巡礼したい人なら、役に立つかもしれません。

写真は最近ミュシャ展を見に行ったときに撮ったサロン・ド・テロンドです。恥ずかしながら、映画見てから初めて行ったので、映画を見ていたときには全然気付きませんでしたが。私は奥寺先輩推しなので、デートの場面を知らなかったというのは残念です。

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新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド
KADOKAWA/角川書店
ISBN: 978-4041047804

罪の声

グリコ・森永事件という実在の事件を参考にしたフィクションです。フィクションにしてはやけにリアル【謎】な感じがしますが、当時はこの小説に出てくるような、そういう目的の犯罪だとは思ってなかったですね。

トーリーは事件の時効が成立した後に犯人の身内が証拠物件を発見するところから始まります。当時の情勢をリアルに知っていると生々しさが半端ないです。とはいっても当時を知らない人にとってもリアルな描写がたくさん出てきます。例えば、前半に出てくる清太郎の死についての描写。

その後、襲撃犯の一人が捕まって清太郎さんの名誉が回復されても、会社関係者は線香一本上げにこなかったと、達雄はえらい剣幕でした
(p.51)

このように、誤解で叩かれた後、誤解が解けても誰も謝らない。叩いたまま。今も大抵そうですね。よくある話です。当時の文化的な背景もちょこまかと出てきます。

「ベーマックスはなくなるの?」
(p.67)

なくなったような気がしないでもない。うちは、ビデオデッキがまだ物置にあります。

読んでいる途中で気になったところは、

しかし、ここから刑事たちは、数々の不運に見舞われる。
(p.73)

不運で片付けるのはありがちだけど、そんなに unlucky は重ならないものでしょう。最後に少しネタが出てきますが、それとはあまり関係ない一般論をしては、あまりにも上手くいかない場合は内部に裏切り者がいるというのが常識ですよね。少し大きな会社ならそういうことはよくあるし、警察のような大きな組織だともっとありそうな話。コミック「モーニング」で連載中の「鳥葬のバベル」にそういう設定が出てきます。連載は終わっていますが「ギャングース」もそんな感じですね。

圧巻は犯人グループの一人が終盤で告白するシーンです。

若かった私は、人は満たされると腐るのだと悟りました。
(p.311)

こういう哲学的、思想的な内容がいろいろ出てくるのは深いと思います。

今やったら、監視カメラやら通信記録やらで、もっと早くに追い詰められてたでしょうね。
(p.323)

まあそりゃそうですね。今あるシステムを使ったハイテク犯罪になっていたことでしょう。そういえば消えたビットコインはどこに行ったのでしたっけ。



罪の声
塩田 武士 著
講談社
ISBN: 978-4062199834

100億稼ぐ仕事術

この本はダントツに読みやすいと思った。一気に読めるのである。そういえば、ビジネス啓蒙系の本でここまで読みやすいというのは珍しいと思うのだが、それっておかしな話だと思う。ビジネスに成功ためには人脈を確保するというプロセスが不可欠なわけで、そのために必須なのがコミュニケーション技術である。従って、本当は分かりやすいだけでなく、相手の興味を惹くような表現力も必須になるわけだ。

まあそれはそうとして、最近はTVにも出たりしているから、堀江氏を知らない人は少ないと思うけど、念のため。エッジ(*1)の社長さんである。

この本、書いてあることも分かりやすいし単純だし、理にかなっているし、読んだ人が「これなら私にもできるな」とか思うかもしれないが、実際そこがとんでもない。簡単なことほど難しいとか禅問答する気はないが、実は書いてあることが、こんな簡単な…と安易に結論が出せるような内容ではない。「やれば出来る」なんて格言もあるけど、もしここに書いてあることが実際にできる人がいるとしたら、その人は、多分高校二年から勉強して東大に入れるレベルの実力があるわけですよ(*2)。そこを勘違いして生兵法で真似したらとんでもないことになりそうな。

まあでもそこそこ成功するという目標でよければ、全部実践する必要はないのかも。

内容としては、一言でいってしまえば、メールをうまく使え、という話(*3)。すみません、はしょりすぎましたか。もっとも、メールというのは本質ではないのだが、それはおいといて、メールを1日平均5000通読んでいるというのが面白いと思った。1秒に1通読めば1時間に3600通か…。不可能ではないかもしれないが、人間としては、このあたりが限界なのだろうか。あと面白かったのは、名刺の整理は難しい、って話。

5万通読めるか、50万通読めるか、ということになるとどうだろうか、というのが気になるのである。私は。

ネタの中にはprocmail とか出てくるわけだけど、ある程度読むところまでコンピュータに任せることができたら読めるメールの数はいくらでも増える。コストカットのアイデアは無限というのが堀江氏の主張である。しかし、人件費節減といっても、最後に自分までカットするというのは想定しているだろうか?そして誰もいなくなるというのかITの究極の姿。

Cマガジンに昔書いたけど、個人的には、伝票チェックするソフトっていつかは作りたいものの一つだと。ちょびっツに出てくるのだ。人間が伝票をチェックする作業を支援するソフトはいくらでもありそうだが、パソコンが自分でチェックするソフトはまだないわけで、それができたらチェックする人をカットできると。

書評になってないナー?

(*1)
2004年に株式会社ライブドアに社名が変わった。

(*2)
堀江氏は高3から本気で入試勉強を始めたと自称している。ただし高校は東大に毎年数十名合格するようなレベルなので、普段の勉強が役に立ったことは言うまでもない。

(*3)
当時は LINE(2011年開始) も twitter(2006年開始) もなかった。 Facebook(2004年開始)が、このころ始まっている。


100億稼ぐ仕事術
堀江 貴文 著
ソフトバンククリエイティブ
ISBN: 978-4797325409

(※この書評は2004年2月21日に書評: 100億稼ぐ仕事術: Phinloda の裏の裏ページに投稿した内容を加筆・修正したものです)

マダム・ジゼル殺人事件

古典的な正統派ミステリーといえばレジェンドの作家が大勢いらっしゃるのですが、今日はアガサ・クリスティさんからあまり有名でなさそうな作品をひとつ紹介しましょう。マダム・ジゼル殺人事件。

この本、私が持っているのと表紙も同じです。平成二年八月二十五日発行、と書いてあるので初版ですかね。ボロボロですが(笑)。

この話は飛行機の中が現場で密室殺人、つまり犯人は基本的に【謎】搭乗した客の中にいます。基本的というのは外に共犯がいるかもという感じで。吹き矢という珍しい凶器が出てきます。この吹き矢の筒が発見された座席に座っていたのは、名探偵エルキュール・ポワロです。並の人ならこれで犯人にされて逮捕となるわけですが、ポワロは並ではない有名人なので警察と協力して犯人を捜すことになります。殺されたマダム・ジゼルは金貸しで、ハイソな人達に無担保で金を貸すのが仕事。無担保だと貸し倒れになりそうなものですが、返してくれないお客様にはすごい手を使います。

「つまり、恐喝です」
(p.85)

返さないと秘密を暴露するといって脅すわけですね。社会的地位が担保です。秘密がバレるとヤバいから、大抵の人は返すことになっています。マダムのメイドのエリーズが、金を借りに来る人達を非難してこんなことを言ってます。

収入以上に贅沢な暮しをし、さんざん借金をしたあげく、借りたのではなく、もらったものと思っていたといわんばかりの態度を取るなんて、理不尽な話でございますよ。
(p.126)

金色夜叉に似たようなセリフがあったような気がしますね。借りる時はとことん頭を下げて、借りたら約束を守らず偉そうな態度になる、どこの国も同じようです。

この作品もポワロの性格がちょこまかとよく出ています。

「あなたは他人を信用しすぎますよ。何びとといえども、そう頭から信用するのは感心できません」
(p.92)

人間を信用するなというのはヨルムンガンドというコミックに出てくるキャスパーも言ってますが、痛い目にあいたくなければ、基本的に人間は信用しない方がいいですね。信用しているかのような行動で十分でしょう。もっとも、ポワロの場合は根拠なく信用するなという意味合いが強いようです。論理主義者ですから、論理的に不整合があることを嫌います。こんなことを言ってます。

私はすべての人を疑ってかかるのです。
(p.136)

ポワロのメソッドですが、これは推理小説の基本パターンですね。まず候補を洗い出して、それをフィルターにかけて1人ずつ候補から外していきます。消去法です。これにもちょっと理由があるようです。殺人事件を解決するにあたって最も大切なことは何か。ポワロの答はこうです。

私にとってもっとも大切なことは、無実の人々にかけられている疑いを晴らすことだと考えているのです
(p.208)

それ故に消去法なんですね、ポワロの場合、その人が犯人ではないと断定することが重要なわけです。では、どうやって消去していくか。ポワロは容疑者の話を聞きます。そこに解決のヒントがあります。この話は最後に犯人が墓穴を掘ってしまうシーンもありますが、ポワロは挑発的な言動も得意なのです。

誰でも、自分自身のことは話したがるものです
(p.234)


マダム・ジゼル殺人事件
中村妙子訳
新潮文庫
ISBN4-10-213518-9

萌える英単語もえたん

すごすぎます。こんな表紙だと電車で読めないという人のためにリバーシブルになっている表紙はさておき、これってマジで受験の役に立つのか、というか、最近のセンター試験にはこういう文が出題されるのか、というのは考えすぎですか、そうですか。

例文が物凄いです。すごいところに電源スイッチがなくても凄いです(*1)。これは多分、ネタばれのサイトがあるんじゃないかという程凄いというか、どれだけネタが分かるかということが重要かもしれません。って何の本? 書店で探しても見つからなかったのですが、その前に、一体どのコーナー探したらいいのか分からなかったとかいう。参考書とか英単語とかのコーナー見てもなかったんだよな、これが(*2)。

イメージ分からない人はもえたんの公式サイト見るのが吉。

(*1)
CLAMPさん作のコミック・アニメ「ちょびっツ」に出てくるアンドロイド(作品中ではパソコンと表現している)のちょびっツの電源スイッチがすごい所にある。

(*2)
2017年現在、参考書の英語のコーナーに置いてあるようです。

萌える英単語もえたん
渡辺 益好・鈴木 政浩 著
三才ブックス
ISBN: 978-4915540707

新装版
ISBN: 978-4915540974

(※この書評は2003年12月18日に萌える英単語もえたん: Phinloda の裏の裏ページに投稿した内容を加筆・修正したものです)

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~

ネットで買おうと思ったらどこ行っても売り切れで販売してないので、知ってる小売店を全部回るしかないか、と思ったら最初の店でgetできました。こんなこともあるんですね。

帯に、

AKB48グループの衣装全1102着収録!!

と書いてあります。つまりAKB48の普通の写真集ではなくて、衣装を紹介している本です。メンバーが着ている写真は33ページまで。その後は延々と衣装と解説が続きます。ラジオでは服飾やってる人とかに見て欲しいと言ってたけど、衣装マニアにもおすすめです。

Chapter 1 はシングル曲とその衣装の解説で、衣装の写真と、デザインのイラストが出ています。イラストに付いている短いコメントが結構面白くて、当時の様子がうかがえます。例えばこのような小ネタが。

『BINGO』の前まではメンバー全員に同じ衣装だった
(p.40)

この後の衣装は、メンバーごとに細かい違いがあるものは各メンバーの衣装がずらっと並びます。違いが細かすぎて見ても分からないのとか(笑)。MUSIC STATIONレコード大賞で歌うときの特別衣装も別途紹介されています。「Everyday、カチューシャ」や「ラブラドール・レトリバー」のようにビデオに水着シーンが出てくる歌は、使った水着も紹介されています。

Chapter 02 は劇場公演衣装コレクション。CHAPTER 3 はカテゴリー別に紹介されていて、造形とかナース風とか、マジでこんなの着て歌ったのかと驚くようなデザインのものが。

ちなみに、p.33 のトンネルの写真、ここですか、周囲の汚いところをうまくカットしていますけど、よくこんな所で撮影したな、と思います。

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茅野さんのコラムも読み応えがあります。野球部のユニフォームを作ったときに秋元さんからのダメだしが、

『野球部のユニフォームがきれいなわけがない。そこに嘘があると、見ている人は冷めてしまう』
(p.151)

細かいですね。まあでも1回の表とか案外キレイだったりしますが。他にも、早着替えの衣装はどういう仕組みで着替えるのかとか、若干テクニカルな解説があって、それも面白いです。

AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット ~あの頃、彼女がいたら~
秋元 康、オサレカンパニー 監修
宝島社
ISBN: 978-4800268815

家電の神様

主人公の轟雷太くんは大手家電店のビッグロード電器に2012年に入社した営業マン。しかし大赤字になってしまい、ランダムなくじに当たってリストラされてしまいます。ヒトゴトではありませんな。再就職は実家の母親が社長をしている地元密着型の電気屋さん。近くに進出してきたオオジマデンキというどこかで聞いたような名前の家電量販店の標的にされてしまう。秘策はあるのか。

みたいな感じだけど、シビアなビジネス小説でもなく、ラノベほど軽くもなく、ゆるふわって感じで安心して読める作品ですね。

一応、営業戦略的なネタは出てくるけど、

みんなががんばれる目標を設定するのは難しい。どうすればいいのか。これはお客様への本当のサービスとはなにかということにも繋がる。
(p.128)

顧客満足度の話っぽい。CS (customer satisfaction)です。細かいこといえば、CSは顧客満足で、顧客満足度とは厳密には違うけどね、しかしこの言葉は本には出てこなかったような気がするな。個人的にはこの程度のアドバイス当たり前すぎて面白くないです。知らない人には面白いのかも。

タイトルの家電の神様というのは、ときどき神様が出てくる。神様というと DAIHONYA を思い出すなぁ。ていうか普通の人間だけど、ありがたいお言葉を言うキャラ。量販店とのバトルについては、

お互い、持ち味を発揮すればいいのです。」
(p.195)

ヌルいこと言ってるんだ、という気がしないでもないが。持ち味ってのは近所に電気屋さんがあるので分かる。ウチの洗濯機は無茶なことを言って、そこで買いました。どういう無茶かというと、洗濯機を置くスペースを見てもらった。これが狭いんだよね。ここに設置してくれたら買う、みたいな。設置されてしまったから仕方ない(笑)。

神様のお言葉をもう一つ紹介すると、これは、100やって1回成功したら、それは失敗か成功かという話。

多くの人は九十九の失敗に目を向けます。そうすると自信を無くし、新たな試みをしない。リスクをとろうとしない。それは本当の失敗です。」
(p.198)

一勝九敗っていう、ユニクロの柳井さんが書いた本がある。考え方は定番なので個人的には「だよね」で済んでしまったりするな。お言葉が悪いわけじゃないけど、松下幸之助さんの本とか読んでたら、知ってることしか出てこないと思う。

そういえば、轟くんより先にリストラされる天才エンジニアっぽいキャラがいる。品川さん。実際そういう人をリストラする会社ってあるのかな。この人がもっと活躍すると面白かったかも。品川編希望(笑)。

家電の神様
江上 剛 著
講談社文庫
ISBN:  978-4062935630